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▼コーナーごとに特色のある6角形の店内配置が魅力
マザーズは東急池上線久が原駅から徒歩3分、商店街の角地にある。現在の店舗は数年前に移転して来たのだが、その前の店から通算すると、久が原では50年商売をしている、まさに地域に根を張った店である。
店内は6角形の面白い形をしており、それぞれに特色を持たせている。左側は豚のコーナー。「和豚もち豚」を中心に販売している。 正面は牛肉のコーナーで、販売している牛は、「社長自ら芝浦でせり落として買ったもの」というのが売りだ。ちなみに、社長とは東京食肉買参事業協同組合理事長の田中金太郎氏のことである。テレビの料理番組で知られた田中氏が枝肉を前に立っている写真が掲示されている。 ベテランの目利きが直接せり落とす高品質の牛、格付けはA−4、A−5に限定して購入、ということで、「あそこの牛肉はいいものだ」という評価が定着している。
右側は惣菜コーナー。奥で春巻を揚げる匂いが流れて来て食欲をそそる。惣菜はひじき煮、くらげの中華前菜、肉じゃがなど、日本人のDNAをくすぐる「お母さんの味」である。 弁当メニューも豊富で、さばみそ弁当、回鍋肉弁当、菜の花弁当、焼き豚炒飯、海老天丼、牛カルビ丼、三色そぼろ丼など、日替わりで食べてみたい弁当が並んでいる。 更に右側はハム・ソーセージのコーナー。そしてユニークなのは、店の中央に野菜のコーナーがあることだ。野菜と言っても並の野菜ではない。無農薬・低農薬・無肥料野菜の生産グループと提携したもので、今流行の健康野菜である。大根、にら、しいたけ、ナス、ピーマン、トマト、きゅうりなどが、ものによっては土がついたままの形で売られている。 2年前に試しに置いてみたらすぐ客が付いた。安全な食材のためなら手間も暇もお金もかけるという主婦は多く、記者が訪ねた時も、一人の主婦が、自分の家では酵素を使った水で野菜を洗浄している、するとこんな風にゴミが出て、というウンチクを語っていた。 確かに味が違うそうで、応対してくれた田中さんの長男・秀隆さんによると、好き嫌いのあったお嬢さんが、この野菜だけはおいしいと言って食べるという。
▼ポイントカードを3000枚発行、割引やギフト券交換に利用
さて、今回のテーマ、「お肉のギフト券」がどのように活用されているかを見てみよう。 マザーズではファンクラブのカードがあり、既に3千枚発行している。ということは、周辺に3千人の顧客を確保していることになる。このカードを持って買い物に来て下さるお客様はレジでバーコードを読み取り、ポイントが付く。ポイントはレシートに印字される。ここまではショッピングセンターによくあるポイントカードと同じ。 ところが、100円につき1円、つまり1%程度が普通のポイントを、マザーズでは通常3%、水・土・日は5%も付けているのだ。2千円の買い物をしたら100円がおまけになる。これは主婦感覚では大きい。 ここからが更にユニーク。マザーズではポイントの蓄積を放置せず、500円分たまるごとに「お肉のギフト券」と交換しているのだ。 取材当日、ちょうどその様子を見せてもらった。牛肉を計り、お客様のカードのバーコードを読み取った途端、レジ機械が「パンパカパーン」というファンファーレを鳴り響かせた。 「はい、お肉のギフト券500円分」 そう言ってギフト券を渡すと、慣れた感じでお客様は財布に入れる。なるほど、カードでは溜まっているかどうか分からないが、こうして形にされると、サービスの実感が湧く。次の購買意欲も増すだろう。 記者も近所のスーパー3店のポイントカードを持っている。同じ買うならポイントの付く店で、という心理が当然働く真面目な客だが、どちらも700円位ポイントがたまっているらしいのだが、見えないからなかなか交換しない。しかし、こうしてカードにして見せられれば、これを使って又買おうという気になる。なかなかうまいやり方だ。
▼データを使って顧客管理、最新型レジ機が手助け ポイントカードの良いところは顧客管理が出来る点で、お客様個々の来店頻度、買い筋の分析からランク分け、曜日や天気との関連付け、ダイレクトメールの発行まで出来ること・・・というのは計量機メーカーのうたい文句で、実際はなかなかそこまでは、というのが秀隆さんの実感だ。計量器で印字される売上データの数字を分析するのは事実上無理。やる人がいないし、まず時間がない。 しかし、この日、丁度新しい機械が到着したところで、新機械では、データがCDの形で取り出せ、これを別のパソコンで見たり、分析したりできる。住所ラベルの印字もできるから、誕生日来店サービスなどの新構想も可能だ。 データを生かせるかどうかは店の姿勢次第だが、販売データが蓄積されるのは将来の展望への期待感が湧く。
もっとも、秀隆さんに言わせると、実際はお客さんとの直接接触の方が確実で、目で見た方が早い、という。実際店頭でも 「あっ、奥さん、レバーあるよ」 などとお客様の買いたいものの記憶はコンピューターでなく、ベテラン店員の頭の中の方が素早く正確だ。 「今夜の献立決まっちゃったのよ」 「このあいだ言ってたからさ」 などという会話はコンピュータにはこなせない。
しかし、何事も進化の途上。アナログからデジタルへの移行の時期は、理想と現実の間でぶれるのが当然。やがて時を得て花開く日が来るに違いない。
〔2003年(平成15年)5月15日号「東京食肉新報」掲載〕
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