枝肉仕入で安くおいしく 藤森畜産(葛飾支部)の取り組み


 藤森畜産(葛飾支部)は、バス通りに面した大きな看板の『豚』がさかさまになっている。「豚もひっくりかえるくらい、安くておいしい店ですよ」と訴えている。枝肉の仕入れのため手間をかけて安くておいしいお肉を提供して、お客様にたいへん喜ばれている。

   スーパーカブ1台

藤森良一社長(左)と秀浩専務
 藤森良一社長は昭和13年2月生まれの73歳。山梨県の旧北巨摩郡から出てきて、38年に今のところよりもう少し北でスーパーカブ1台で食肉の卸売業を開業した。そして53年に現在地に移転、小売部門も開始した。
 良一さんはたばこが大好きで、1日100本も吸っていた超ヘビースモーカーだった。肺ガンが心配になり、40歳でやめたのだが、後遺症≠ナ6年前に喉頭ガンの手術をした。週に2回発声の練習に通い、大きな声は出せないが、今では会話も電話も大丈夫だ。

   秀浩専務が後継者

 2代目の秀浩専務は43年7月生まれの43歳。姉がふたりの3人きょうだいで、高校を卒業してアルバイトをしながらプラプラしていると、父からやることないならうちでやれよと誘われた。
 はたちからお肉の修業。「職人の作業を見ながら覚えた。その頃は誰も教えてくれなかった」
 秀浩さんにも子どもが3人、小4・小1・幼稚園の女・女・男の同じ遺伝子の構成。「また一番下が継いでくれるといいんですけどね」

   店から作業が見える
作業場からお店を見る、ということは
店から見える作業場、外は雷雨だ

 お店はJR常磐線の亀有駅か金町駅からバスで15分。水元公園の近くで昔は畑や田んぼばかりで小川が流れ池もあったが、今ではすっかり住宅街になった。
 バス通りに面して13坪のお店があり、4人のパートさんが受け持つ。惣菜は扱っていない。牛肉と豚肉と馬肉も売っている。
 店の2階が事務所になって、その後方が中2階から3階へと吹き抜けになって作業場になっている。そこでは社長を含め5人の男たちが枝肉から部分肉、商品への作業を明るくこなしている。
 また、店と作業場の間には窓があり、枝肉を整形する作業がお客様にも見えるようになっている。
 「指さしてびっくりしている人もいる」

   薄利多売≠フ精神

 市場でセリに参加して枝肉で仕入れるため、コストを下げて量販店などよりも安い価格で提供できる。しかも自分の目で見て、1頭1頭吟味し新鮮なものを自信をもって仕入れてくることが店のモットーだ。
 銘柄にはこだわらないできたが、最近は和牛は常陸牛が多くなった。豚はSPF豚で変わらずにきている。また馬も山梨から枝で取り寄せて、馬刺肉も売っている。
 枝肉の掛け降ろしができるのは秀浩さんひとり、それから骨抜きをして部分肉にして真空パックにして卸売りにするか、店用に保管する。真空パックは長期間持つので助かっている。
 数年前までは毎週水・土曜日に『びっくり市』を開催し、通常よりも格安で販売していたが、今では毎日が『びっくり市』の安さで販売している。
 道路を挟んで向かいにライフがあるが、道を渡って買いにくるお客様が少なくない。
 営業は朝9時から夜7時まで。お休みは正月の4日間だけで年中無休だ。スタッフは交代で休みを取っている。

   卸7・小売3の比

 売り上げの比率は卸が7、小売が3と、小売もがんばっている。
 仕入は埼玉市場・東京市場と最近では茨城中央公社からが増えている。
 ホテル・レストランや焼肉屋さんに納める仲卸屋さんへの納めが多いので、いいものでないと買ってもらえない。
 店の売り上げの構成比は牛7の豚3と、牛肉の販売比率が高い。お客様にも牛肉が安くておいしいという評判が定着している。100g400円のカルビがよく売れる。『本日のサービス品・味付カルビ』は200円だ。遠くからのお客様も大勢訪れる。
(左から)藤森さん、宇田川さん、君塚さん、望月さん。
 望月さんは弱冠24歳、「この仕事はおもしろい」と感じる。
ウインドーには安くておいしい
『ふじもりの肉』が並ぶ。
 近くの水元公園の花見やバーベキューのシーズンには、大量のまとめ買いも多い。
 スタッフ9人はいつも楽しく会話を交わし、店内の雰囲気がとても明るいのも、お客様を呼び寄せている。
ハーレーに乗る麻子さんと蓮美・莉佳・嘉浩ちゃん。

   震災ボランティア

 6月の土曜日、秀浩さんは友人とふたりでお肉数十sを持って石巻へ向かった。着いてすぐ夜11時から朝までかけて250食の焼肉丼を作った。地元のボランティアの仲間の居酒屋でご飯を炊いて肉を焼いた。昼にはそれぞれの拠点に分けて配達して、夜8時には戻って月曜は仕事という弾丸ツアーだった。
 少しでも東日本大震災に遭った人たちが元気になってほしいと願う。宅急便でお肉を送って支援を続けている。
 今は子育ての真っ最中、たまに1340tのハーレーを乗り回すのが楽しみだ。



    〔2011年(平成23年)9月15日号 「東京食肉新報」掲載〕


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