(有)栃木屋
「うちは肉屋というより、ケーキ屋という印象を受ける店舗です」。栃木屋(小関俊雄社長・目黒区八雲)の3代目・小関雄吾さんの店舗の特長を語る言葉に、好奇心をくすぐられる。ガラス張りで明るい雰囲気にデザインされた「ケーキ屋」らしい店舗は、枝分かれした道路の間に挟まれるように建つ、白壁で三角形のビルの1階にある。「形もショートケーキみたいなんです」。「ケーキ屋」は、店舗のデザインだけではなかったようだ。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3717-0243 FAX:03-3717-0243 |
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住所 | 〒152-0023 目黒区八雲1-7-1 |
SNS |
店舗PR、お知らせなど
熱帯魚でお客と会話が弾むことも
店舗に入ると、すぐに精肉が整然と並ぶショーケースが目前に。振り返ると、熱帯魚の水槽。揚げ物を揚げている待ち時間に、お客を楽しませたり、会話のきっかけになったりするアイテムだ。その横の壁には、雄吾さんが作る「栃木屋肉店かわら版」。店内で使うミートスライサーの写真入りの解説が興味をそそる。それと並べて「栃木屋の歴史」が当時の写真入りで綴られていた。
昭和初期から3代
東急都立大学駅近くの目黒区中根で、昭和10年に開業。初代・八十次さんが地域の配達に自転車を走らせて業績を伸ばす中、小関さんは昭和39年に22歳で家業に入る。小さい時から手伝ってはいたが「初めは嫌だった」のでサラリーマンを志望。しかし、家族だけで店を切り盛りすることとなり、決意を固めた。
父から技術を見よう見まねで習い、力仕事も多く、「大変なことばかり」。当時の一番苦労したことを尋ねると、すぐには思いつかないような小関さんに「多すぎて、思い出せないのでは?」と雄吾さんが笑う。その労苦が実り、昭和50年には木造から鉄筋コンクリートの店舗に建て替え。昭和62年には駅前再開発で現在の目黒区八雲に移転した。妻・美津子さんと築き上げた、「ケーキ屋」のような店舗である。
そのような両親の姿を見て育った雄吾さんは、お店の仕事をやりたくて「初めから継ぐつもりでいた」。食肉学校で技術を磨き10年以上が過ぎた今では、お店のこと全てに気を配る中心的存在だ。「よくやってくれている」と、小関さんも目を細める。
雄吾さんにとっての仕事の魅力は「やっただけ反応があること」。売上はもちろんのこと、肉をきれいに並べれば、「並べ方がきれい」とお客が言ってくれるだけで嬉しくなる。スーパーで買い物しても「肉だけは、ここで買う」と通ってくれるお客の声に、やりがいを感じる日々だ。
それだけに、品質には細かく配慮。牛肉は九州の和牛を中心とするが、産地はこだわらずに良い物を厳選。ショーケースには常に新しい精肉を並べ、鮮度の高さを意識する。発色を良くするために、切ったらすぐに冷蔵庫に入れ、お客の目に見栄えする工夫を欠かさない。少しでも劣化すれば、小関さんが「まだ大丈夫」と思うものでも下げてしまう。
「自分たちが大丈夫と思っても、お客さんが品質に疑問を持ったら、次につながらない。その方が、お客さんも信頼してくれます」
こうした徹底ぶりを評価しながらも「儲からなくなっちゃった」と苦笑いする小関さんに、「でも、得るものは大きいと信じています」と雄吾さんは胸を張る。
昭和初期から3代
東急都立大学駅近くの目黒区中根で、昭和10年に開業。初代・八十次さんが地域の配達に自転車を走らせて業績を伸ばす中、小関さんは昭和39年に22歳で家業に入る。小さい時から手伝ってはいたが「初めは嫌だった」のでサラリーマンを志望。しかし、家族だけで店を切り盛りすることとなり、決意を固めた。
父から技術を見よう見まねで習い、力仕事も多く、「大変なことばかり」。当時の一番苦労したことを尋ねると、すぐには思いつかないような小関さんに「多すぎて、思い出せないのでは?」と雄吾さんが笑う。その労苦が実り、昭和50年には木造から鉄筋コンクリートの店舗に建て替え。昭和62年には駅前再開発で現在の目黒区八雲に移転した。妻・美津子さんと築き上げた、「ケーキ屋」のような店舗である。
そのような両親の姿を見て育った雄吾さんは、お店の仕事をやりたくて「初めから継ぐつもりでいた」。食肉学校で技術を磨き10年以上が過ぎた今では、お店のこと全てに気を配る中心的存在だ。「よくやってくれている」と、小関さんも目を細める。
雄吾さんにとっての仕事の魅力は「やっただけ反応があること」。売上はもちろんのこと、肉をきれいに並べれば、「並べ方がきれい」とお客が言ってくれるだけで嬉しくなる。スーパーで買い物しても「肉だけは、ここで買う」と通ってくれるお客の声に、やりがいを感じる日々だ。
それだけに、品質には細かく配慮。牛肉は九州の和牛を中心とするが、産地はこだわらずに良い物を厳選。ショーケースには常に新しい精肉を並べ、鮮度の高さを意識する。発色を良くするために、切ったらすぐに冷蔵庫に入れ、お客の目に見栄えする工夫を欠かさない。少しでも劣化すれば、小関さんが「まだ大丈夫」と思うものでも下げてしまう。
「自分たちが大丈夫と思っても、お客さんが品質に疑問を持ったら、次につながらない。その方が、お客さんも信頼してくれます」
こうした徹底ぶりを評価しながらも「儲からなくなっちゃった」と苦笑いする小関さんに、「でも、得るものは大きいと信じています」と雄吾さんは胸を張る。
雄吾さんが描いた小関さんと美津子さんの似顔絵のポップ
飽きさせない工夫
一番重点を置いていることは、人とのつながりだ。対面販売の命であるお客とのコミュニケーションを大切にしているが、作業に忙殺される時には肉料理のレシピやポップなどを使い、接点を作りだそうと努力する。
「修業中にファンを作ることを教わりました。お客さんを飽きさせないよう工夫しています」
ショーケースのポップには、「鍋にはこれが一番!」「生姜焼きならこちらがオススメ!」と精肉に目を向けさせるものもあれば、揚げ物の種類の豊富さと味見したくなるコメントを添えたものが店頭を飾る。美津子さんが作る惣菜メニューは、「キッチン美津子」と銘打ちおふくろの味をアピール。その名を聞いて「食べに行きたい」と、別店舗があると勘違いされるほど、人気を集める効果を出している。雄吾さんの絵心が生きた、職人気質の風格をにじませる小関さん、フライパンを手に微笑む美津子さんの似顔絵も、店内を和ませるマスコットのようだ。
「言葉を簡単に、表現も柔らかく」を心がけ、一枚のポップやポスターに特長、写真、お店のカラーを凝縮。お客が向ける一瞬の視線を捉えるため、一枚一枚に思いを込める。その積み重ねが、お客の関心を集めているようだ。
長年にわたり築いたお店の信頼と商品力に加え、雄吾さんのお客をつかむ発想力。これをさらに発展させ、お店を大きくするのが目標だ。その先には、新鮮で美味しい肉を食べられる焼肉店を展望する。
「道は険しいですけど、知名度を上げていけば夢ではないかなと…」
「ケーキ」がサイズを変えたら、どのようなデコレーションをするのかが楽しみだ。
【「東京食肉新報」2016年(平成27年)3月号掲載】
一番重点を置いていることは、人とのつながりだ。対面販売の命であるお客とのコミュニケーションを大切にしているが、作業に忙殺される時には肉料理のレシピやポップなどを使い、接点を作りだそうと努力する。
「修業中にファンを作ることを教わりました。お客さんを飽きさせないよう工夫しています」
ショーケースのポップには、「鍋にはこれが一番!」「生姜焼きならこちらがオススメ!」と精肉に目を向けさせるものもあれば、揚げ物の種類の豊富さと味見したくなるコメントを添えたものが店頭を飾る。美津子さんが作る惣菜メニューは、「キッチン美津子」と銘打ちおふくろの味をアピール。その名を聞いて「食べに行きたい」と、別店舗があると勘違いされるほど、人気を集める効果を出している。雄吾さんの絵心が生きた、職人気質の風格をにじませる小関さん、フライパンを手に微笑む美津子さんの似顔絵も、店内を和ませるマスコットのようだ。
「言葉を簡単に、表現も柔らかく」を心がけ、一枚のポップやポスターに特長、写真、お店のカラーを凝縮。お客が向ける一瞬の視線を捉えるため、一枚一枚に思いを込める。その積み重ねが、お客の関心を集めているようだ。
長年にわたり築いたお店の信頼と商品力に加え、雄吾さんのお客をつかむ発想力。これをさらに発展させ、お店を大きくするのが目標だ。その先には、新鮮で美味しい肉を食べられる焼肉店を展望する。
「道は険しいですけど、知名度を上げていけば夢ではないかなと…」
「ケーキ」がサイズを変えたら、どのようなデコレーションをするのかが楽しみだ。
【「東京食肉新報」2016年(平成27年)3月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ