根岸愛知屋
今年から新しいお店の顔として日々奮闘する深沢彰則さんと母・絹枝さん
大通りの商店街に並んでいるだけではない。JR鶯谷駅から徒歩で行ける至便さ。さらに、バス停が店舗前にある。客足が集まるのに好条件がそろっている根岸愛知屋(台東区根岸)の店先は、人や車の往来だけでなく、近くの小学校に通う生徒たちの楽しそうな声でも賑やかだ。長年にわたり地域に愛されたお店は、深沢彰則社長が今年から後継の道を歩み始めた。激動の時代に新たなお店の顔となり、奮闘の日々だ。
大通りの商店街に並んでいるだけではない。JR鶯谷駅から徒歩で行ける至便さ。さらに、バス停が店舗前にある。客足が集まるのに好条件がそろっている根岸愛知屋(台東区根岸)の店先は、人や車の往来だけでなく、近くの小学校に通う生徒たちの楽しそうな声でも賑やかだ。長年にわたり地域に愛されたお店は、深沢彰則社長が今年から後継の道を歩み始めた。激動の時代に新たなお店の顔となり、奮闘の日々だ。
店主より一言
店舗情報
連絡先 | TEL:03-3872-4768 |
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住所 | 〒110-0003 台東区根岸2-16-11 |
店舗PR、お知らせなど
道行く人の目を引くおしゃれな看板
今年から3代目に
通りを行く人たちへアピールするように歩道の頭上へ飛び出した、洋風庭園にあるようなデザインの看板が目を引く。
「現在のビルに建て替える時に、建築会社の方が提案してくれたんです。結構、目立っていると思います」と深沢さん。店舗と住まいが一体になったビルで、お店の歴史もこの地から始まっている。
戦後の余韻が残る頃、祖父が現在の店舗がある場で開業した。屋号の「愛知屋」は祖父が修行していたお店ののれん分けで名付けられた。町も賑わい、食も豊かになるにつれ、商売は繁盛していった。さらに、父・豊さんが勢いに乗り、創意工夫を重ねながら発展。地域の常連客が多く付き、確固たる基盤を築いた。しかし、ことし2月に父が亡くなり、深沢さんがお店を引き継ぐことに。
新たなお店の顔としてスタートしたが、取り巻く環境は厳しい。近隣に新しい住宅やマンションが増えたが、共稼ぎ世帯が多いので、精肉を買って調理をする人は減少傾向。近隣には大型スーパーができて、勢いは押され気味だ。
「厳しいですけど、何とかしていきたい」と、今後の展開を思案している。
通りを行く人たちへアピールするように歩道の頭上へ飛び出した、洋風庭園にあるようなデザインの看板が目を引く。
「現在のビルに建て替える時に、建築会社の方が提案してくれたんです。結構、目立っていると思います」と深沢さん。店舗と住まいが一体になったビルで、お店の歴史もこの地から始まっている。
戦後の余韻が残る頃、祖父が現在の店舗がある場で開業した。屋号の「愛知屋」は祖父が修行していたお店ののれん分けで名付けられた。町も賑わい、食も豊かになるにつれ、商売は繁盛していった。さらに、父・豊さんが勢いに乗り、創意工夫を重ねながら発展。地域の常連客が多く付き、確固たる基盤を築いた。しかし、ことし2月に父が亡くなり、深沢さんがお店を引き継ぐことに。
新たなお店の顔としてスタートしたが、取り巻く環境は厳しい。近隣に新しい住宅やマンションが増えたが、共稼ぎ世帯が多いので、精肉を買って調理をする人は減少傾向。近隣には大型スーパーができて、勢いは押され気味だ。
「厳しいですけど、何とかしていきたい」と、今後の展開を思案している。
国産の精肉を細かい注文に応えてカット。希少部位もそろえ好評
穏やかな父の姿を
幼い頃からお店の仕事を見て育った深沢さんが、初めに選んだ仕事は家業ではなく、外の飲食店。様々に経験を重ねたが、30歳を超えたあたりで父と夫婦二人三脚でお店を切り盛りしてきた母・絹枝さんが体調を崩した。それをきっかけに家業へ入り、父とともにお店の新戦力として活躍が始まった。
父の仕事ぶりは見ていたものの、精肉店としての仕事は全くゼロからの積み重ねだった。肉の塊を前にしても、おろし方が分からない。どの部位にどこから包丁を入れるのか、戸惑うばかり。肉の種類、部位、さばき方など、父は必要な知識や技術を一つひとつ丁寧に伝えていった。
伝えられたのは、肉のことだけではない。穏やかな雰囲気で接客する父の姿だ。それが多くのお客の心をつかんでおり、常連客は売り場の父を思い出すと「いい人だった」と口をそろえる。
「お客さんは大事にしたい。あまりしゃべる方ではないですが、声を出すことを心掛けています。売り方も工夫していきます」と改めて深沢さんは決意する。
扱う精肉は国産のみ。輸入物は価格が安くできるが、スーパーに対抗できないので品質で勝負する。牛肉はA5をそろえ産地の指定はせず、仕入れる際に一番良いものを手にする。豚肉、鶏肉も同様で、どれも良心的な価格だ。スライスや塊など、細かい注文にも様々にカットして提供し、常連客からは好評だ。ミスジや豚トロなど、精肉店ならではの部位もそろえ、焼肉などで美味しく食べられると売れ筋になっている。枝肉で仕入れているからこそできる種類の豊富さを誇る。
惣菜類も晩御飯のおかずとして人気だ。生姜焼きは特製のもので、焼くだけの簡単調理で食べられる。朝から仕込むお手製のハンバーグは、A5の牛肉を使用した上質さ。揚げ物はトンカツやメンチ、コロッケのほか、アジフライなど魚介系のものまで10種類以上ある。注文が入ってから揚げるので、美味しさが最大に引き出された状態で提供。ラードで揚げるのが人気のポイントで、ひと味違う精肉店の味と気に入ってくれるお客が多い。
幼い頃からお店の仕事を見て育った深沢さんが、初めに選んだ仕事は家業ではなく、外の飲食店。様々に経験を重ねたが、30歳を超えたあたりで父と夫婦二人三脚でお店を切り盛りしてきた母・絹枝さんが体調を崩した。それをきっかけに家業へ入り、父とともにお店の新戦力として活躍が始まった。
父の仕事ぶりは見ていたものの、精肉店としての仕事は全くゼロからの積み重ねだった。肉の塊を前にしても、おろし方が分からない。どの部位にどこから包丁を入れるのか、戸惑うばかり。肉の種類、部位、さばき方など、父は必要な知識や技術を一つひとつ丁寧に伝えていった。
伝えられたのは、肉のことだけではない。穏やかな雰囲気で接客する父の姿だ。それが多くのお客の心をつかんでおり、常連客は売り場の父を思い出すと「いい人だった」と口をそろえる。
「お客さんは大事にしたい。あまりしゃべる方ではないですが、声を出すことを心掛けています。売り方も工夫していきます」と改めて深沢さんは決意する。
扱う精肉は国産のみ。輸入物は価格が安くできるが、スーパーに対抗できないので品質で勝負する。牛肉はA5をそろえ産地の指定はせず、仕入れる際に一番良いものを手にする。豚肉、鶏肉も同様で、どれも良心的な価格だ。スライスや塊など、細かい注文にも様々にカットして提供し、常連客からは好評だ。ミスジや豚トロなど、精肉店ならではの部位もそろえ、焼肉などで美味しく食べられると売れ筋になっている。枝肉で仕入れているからこそできる種類の豊富さを誇る。
惣菜類も晩御飯のおかずとして人気だ。生姜焼きは特製のもので、焼くだけの簡単調理で食べられる。朝から仕込むお手製のハンバーグは、A5の牛肉を使用した上質さ。揚げ物はトンカツやメンチ、コロッケのほか、アジフライなど魚介系のものまで10種類以上ある。注文が入ってから揚げるので、美味しさが最大に引き出された状態で提供。ラードで揚げるのが人気のポイントで、ひと味違う精肉店の味と気に入ってくれるお客が多い。
精肉だけでなく手作りのハンバーグや揚げ物も人気
◇
「先代がいなくなって、お店を閉めるわけにはいかないと、跡を継いでくれて嬉しい。若いのだから、頑張ってほしい」と、まだ手探りの状態ながらも、お店の切り盛りに力強さを感じてきた深沢さんの姿に、母は日々頼もしさを感じる。
「ある程度、自分でできるようになった。父も安心してくれていると思っています」と深沢さん。父の仕事ぶりを受け継ぐように、「細かい要望にも応えられる、地域の人に愛される店づくり」が目標。父の仕事への魂をしっかり受け継いだようだ。
【「東京食肉新報」令和3年(2021年)6月号掲載】
「先代がいなくなって、お店を閉めるわけにはいかないと、跡を継いでくれて嬉しい。若いのだから、頑張ってほしい」と、まだ手探りの状態ながらも、お店の切り盛りに力強さを感じてきた深沢さんの姿に、母は日々頼もしさを感じる。
「ある程度、自分でできるようになった。父も安心してくれていると思っています」と深沢さん。父の仕事ぶりを受け継ぐように、「細かい要望にも応えられる、地域の人に愛される店づくり」が目標。父の仕事への魂をしっかり受け継いだようだ。
【「東京食肉新報」令和3年(2021年)6月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ