石塚商店
石塚東正社長(右端)と従業員の皆さん
オフィス街に変貌を遂げ、エンターテイメント、現代アートなど、東京の新しい潮流を生み出している町、六本木。近隣にはスタイリッシュなデザインのビルや店舗が立ち並ぶ中、石塚商店(石塚東正社長、港区六本木)は時代の語り部のように昔の六本木の町の姿を思わせるビルで展開し、地域に親しまれている。激しい時代の変化とともに歩んできた歴史が、店内に、商品に、刻まれている。
オフィス街に変貌を遂げ、エンターテイメント、現代アートなど、東京の新しい潮流を生み出している町、六本木。近隣にはスタイリッシュなデザインのビルや店舗が立ち並ぶ中、石塚商店(石塚東正社長、港区六本木)は時代の語り部のように昔の六本木の町の姿を思わせるビルで展開し、地域に親しまれている。激しい時代の変化とともに歩んできた歴史が、店内に、商品に、刻まれている。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3583-6286 FAX:03-3431-4529 |
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住所 | 〒106-0032 港区六本木2-2-9 |
店舗PR、お知らせなど
現代的なビルが並ぶ中で昔ながらの街並みの面影を残す店舗。「平石商店」は精肉店を営んでいた叔父の屋号
昭和33年にお店を創業した父の右腕となるべく、新潟県柏崎市から昭和35年に上京した石塚さんは、15歳で精肉店の仕事に飛び込んだ。当時は「何もないところ」というような小さな住宅が立ち並ぶ町で、近隣住民が買物に来る一般的な精肉店。やがて父の奮闘により、港区では名の知れた存在となった。
変化が起きたのは昭和61年。周辺はオフィス街へ急激な変貌を遂げ、昼間は住民よりサラリーマンの数が増えていった。従来の店頭売りでは今後の展開は困難と考え、サラリーマン向けにお弁当の販売を決断。それまで多くの配達先を持っていたが、それを取りやめてまで挑戦するだけの魅力があった。
スタッフは皆が料理上手で、あらゆる方面へ料理の研究に。さらに弟はホテルニューオータニで腕を振るう中華料理の料理長だったので、アドバイスをもらいながら本格的な味を追求できた。お肉の美味しさを生かした料理を詰めたお弁当を次々と開発して販売。努力が実り、お弁当は大当たりした。
「大変だったけど、毎日買いに来てくれるし、楽しかった」
当時はコンビニもなく、地域の特性とニーズをつかんだことで得たヒット商品だった。
今でも時代の趣向に合わせて少しずつ変化させながら、10種のメニューをそろえる。幕の内弁当は、お客を飽きさせないために日替わりに。「いつの時代も売れて、敵うものはない」のは唐揚げ弁当だ。中華料理のお弁当は強みの一つで、チンジャオロース、蒸し鶏、黒酢酢豚などが人気。最近はしつこくない料理が好まれている。
変化が起きたのは昭和61年。周辺はオフィス街へ急激な変貌を遂げ、昼間は住民よりサラリーマンの数が増えていった。従来の店頭売りでは今後の展開は困難と考え、サラリーマン向けにお弁当の販売を決断。それまで多くの配達先を持っていたが、それを取りやめてまで挑戦するだけの魅力があった。
スタッフは皆が料理上手で、あらゆる方面へ料理の研究に。さらに弟はホテルニューオータニで腕を振るう中華料理の料理長だったので、アドバイスをもらいながら本格的な味を追求できた。お肉の美味しさを生かした料理を詰めたお弁当を次々と開発して販売。努力が実り、お弁当は大当たりした。
「大変だったけど、毎日買いに来てくれるし、楽しかった」
当時はコンビニもなく、地域の特性とニーズをつかんだことで得たヒット商品だった。
今でも時代の趣向に合わせて少しずつ変化させながら、10種のメニューをそろえる。幕の内弁当は、お客を飽きさせないために日替わりに。「いつの時代も売れて、敵うものはない」のは唐揚げ弁当だ。中華料理のお弁当は強みの一つで、チンジャオロース、蒸し鶏、黒酢酢豚などが人気。最近はしつこくない料理が好まれている。
お弁当メニューは中華が得意。作業場で中華鍋を振るう
一枚ずつの心遣い
人気のお弁当は美味しいお肉があってこそ。「肉にはこだわっている」と石塚さんは胸を張る。牛肉は山形牛と常陸牛だけと決めている。豚肉は岩手県と秋田県産を。鶏肉は山梨県の赤鶏を仕入れる。「どこにでもあるものは、使わない」と絶対に自信を持って勧められるというものばかり。
どれも質が良く、味も安定的。問屋が提案したものを試食し、長年にわたり積み重ねた経験と鍛えてきた味覚で、「売れば必ず買いに来てくれる」という確信を持った商品だ。決め手は、やはり「おいしい」。食べることが大好きな石塚さんの直感の鋭さは、お客からの反応が物語っている。
ショーケースに並ぶ精肉の扱いも丁寧。スライスした牛肉は、シートに1枚ずつ包む。また、ラップされたステーキ肉は色つやが美しく保たれているだけでなく、「常陸牛」のロゴシールを貼るなど品質の高さを伝える。やや手間のようにも思えるが、調理で余った時には冷凍保存しやすいようにと、お客への心遣いの表れでもある。それでいて、良心的な価格だ。
若い世代のお客には、ローストビーフや焼き豚、ロースハムなどが人気。手作りのとんかつやメンチ、コロッケは、晩ご飯の定番メニューだ。
「家族みんなで、美味しく食べられるように。何とか安くして、お客さんに尽くしたい」
一人ひとりのお客を大事にするため、できるだけ会話を心掛ける。むしろ、石塚さんと会話したいから買い物に来るお客もいるほど。商品はもちろんだが、石塚さんの人柄も相まって、多彩なお客が来店する。
その証が店頭に飾られた多くのサイン色紙。歌手の坂本冬美さんや、いしだあゆみさんはお得意様。元キャンディーズの田中好子さんは、しゃぶしゃぶ肉を買いに車で店頭に乗り付けるほどだった。ファンの国会議員も多く、石塚さんのお弁当を食べている歴代の首相や大臣も。
人気のお弁当は美味しいお肉があってこそ。「肉にはこだわっている」と石塚さんは胸を張る。牛肉は山形牛と常陸牛だけと決めている。豚肉は岩手県と秋田県産を。鶏肉は山梨県の赤鶏を仕入れる。「どこにでもあるものは、使わない」と絶対に自信を持って勧められるというものばかり。
どれも質が良く、味も安定的。問屋が提案したものを試食し、長年にわたり積み重ねた経験と鍛えてきた味覚で、「売れば必ず買いに来てくれる」という確信を持った商品だ。決め手は、やはり「おいしい」。食べることが大好きな石塚さんの直感の鋭さは、お客からの反応が物語っている。
ショーケースに並ぶ精肉の扱いも丁寧。スライスした牛肉は、シートに1枚ずつ包む。また、ラップされたステーキ肉は色つやが美しく保たれているだけでなく、「常陸牛」のロゴシールを貼るなど品質の高さを伝える。やや手間のようにも思えるが、調理で余った時には冷凍保存しやすいようにと、お客への心遣いの表れでもある。それでいて、良心的な価格だ。
若い世代のお客には、ローストビーフや焼き豚、ロースハムなどが人気。手作りのとんかつやメンチ、コロッケは、晩ご飯の定番メニューだ。
「家族みんなで、美味しく食べられるように。何とか安くして、お客さんに尽くしたい」
一人ひとりのお客を大事にするため、できるだけ会話を心掛ける。むしろ、石塚さんと会話したいから買い物に来るお客もいるほど。商品はもちろんだが、石塚さんの人柄も相まって、多彩なお客が来店する。
その証が店頭に飾られた多くのサイン色紙。歌手の坂本冬美さんや、いしだあゆみさんはお得意様。元キャンディーズの田中好子さんは、しゃぶしゃぶ肉を買いに車で店頭に乗り付けるほどだった。ファンの国会議員も多く、石塚さんのお弁当を食べている歴代の首相や大臣も。
歌手や国会議員など著名人のサイン色紙がズラリと並び、常連客の幅の広さをうかがわせる
◇
現在はコロナ禍の影響で、サラリーマンが会社に出勤することが少なくなったため、主力のお弁当が苦戦を強いられている。冬枯れのような町に早くお客が戻って来るよう我慢の時だが、「みんなが頑張ってくれるから、自分も頑張れる」と、笑顔を絶やさない。春を呼ぶような石塚さんの大きくて良く通る笑い声が店内に響いた。
【「東京食肉新報」2020年(令和2年)12月号掲載】
現在はコロナ禍の影響で、サラリーマンが会社に出勤することが少なくなったため、主力のお弁当が苦戦を強いられている。冬枯れのような町に早くお客が戻って来るよう我慢の時だが、「みんなが頑張ってくれるから、自分も頑張れる」と、笑顔を絶やさない。春を呼ぶような石塚さんの大きくて良く通る笑い声が店内に響いた。
【「東京食肉新報」2020年(令和2年)12月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ