2026/5/23
豊かな自然が育む幻の五島牛

長崎県五島列島の最南端に位置する福江島は、自給自足ができる島だという。海に向かえばカンパチやヒラマサをはじめとする豊かな魚介類が水揚げされる。海のミネラルを豊富に含んだ大地からは、コメやムギ、イチゴ、サツマイモなどの恵みが育まれる。日本三大うどんの一つ「五島うどん」があれば、焼酎の蔵元も点在する。島の沖には8基の風車が回り、電気まで安定的に供給している。


こうした豊かな資源の一角を担うように、牛肉も島内で生産される。福江島の宝でもある「五島牛」だ。全国的に評判が高いながらも、離島ゆえに限られた生産量と入手の困難さから「幻の牛肉」とも呼ばれる。その生産と流通、味を体感するため、第一航空サービス㈱(当組合賛助会員)は視察旅行を企画。羽田空港から福岡空港を経由し、小型機に乗り換え福江空港に降り立った。

空港からバスで10分ほど。たどり着いた島の中心街は、幕末に異国船への備えとして築かれた福江城の城下町が基盤となっている。城は明治期の廃城令でわずか8年で役割を終えるという、時代に翻弄された歴史を持つ。武家屋敷の名残がある住宅が並んでいる一方で、大型商業施設もあり、商店街には多種多様な店舗が軒を連ね、生活の利便性も高い。
長崎港や五島の島々などを結ぶフェリーターミナルもあり、ホテルや飲食店など、港町としても賑わいを見せる。島外との交流が盛んでありながら、島が作る独特の空気を損なわない、絶妙なバランスの町並みが心地良い。
この島は、大瀬崎のように断崖絶壁の激しい地形が織りなす絶景や、おとぎ話に出てくるようなきれいな円錐の鬼岳の火山など、変化に富んだ自然を持つ。海に囲まれた複雑な環境が生み出す恵みの中、五島牛はいかにして高い品質へと育まれているのだろうか。
五島牛は福江島のほか、久賀島(五島市)・小値賀島(小値賀町)・宇久島(佐世保市)など、限られた地域で育てられた黒毛和牛。肉質など厳しい基準をクリアしたものが「五島牛」を名乗ることができる。豊かな自然に包まれて伸び伸びと育った牛は、肉質が柔らかく、味、香りの良さは、「全国和牛能力共進会 (和牛五輪)」の出場や「内閣総理大臣賞」の受賞などから、全国的にも評判が高い。
五島で牛が食用とされたのは明治以降だが、牛とともに過ごした歴史は弥生時代まで遡る。「日本最古の牛の遺物の一つ」として島内の遺跡から牛歯が発掘されており、当時から農耕や運搬に使われていたようだ。数千年も前から、この島の人々は牛とともに歩んできたことをうかがわせる。
長崎港や五島の島々などを結ぶフェリーターミナルもあり、ホテルや飲食店など、港町としても賑わいを見せる。島外との交流が盛んでありながら、島が作る独特の空気を損なわない、絶妙なバランスの町並みが心地良い。
この島は、大瀬崎のように断崖絶壁の激しい地形が織りなす絶景や、おとぎ話に出てくるようなきれいな円錐の鬼岳の火山など、変化に富んだ自然を持つ。海に囲まれた複雑な環境が生み出す恵みの中、五島牛はいかにして高い品質へと育まれているのだろうか。
五島牛は福江島のほか、久賀島(五島市)・小値賀島(小値賀町)・宇久島(佐世保市)など、限られた地域で育てられた黒毛和牛。肉質など厳しい基準をクリアしたものが「五島牛」を名乗ることができる。豊かな自然に包まれて伸び伸びと育った牛は、肉質が柔らかく、味、香りの良さは、「全国和牛能力共進会 (和牛五輪)」の出場や「内閣総理大臣賞」の受賞などから、全国的にも評判が高い。
五島で牛が食用とされたのは明治以降だが、牛とともに過ごした歴史は弥生時代まで遡る。「日本最古の牛の遺物の一つ」として島内の遺跡から牛歯が発掘されており、当時から農耕や運搬に使われていたようだ。数千年も前から、この島の人々は牛とともに歩んできたことをうかがわせる。
施設内は徹底した衛生管理

車の往来が多い大通りから外れて、畑が広がる静かな景色を眺めながら細道を行くと、㈱JAごとう食肉センターに到着した。施設の前に立っても、臭いや騒音はほとんど感じられない。
出迎えてくれたのは、センター長の田口太さんと業務課長の野口善正さん。不織布の白衣と帽子を着用し、長靴に履き替えて施設内へ入る。
同センターは、平成25年から26年にかけて大規模改修を行い、牛豚それぞれ処理棟を分離。令和3年度には出荷口等での外部接触をなくす工事を行うなど、HACCPの厳しい基準に適合したと畜解体施設となった。
衛生管理は24人の作業員にも徹底されている。日々、チェックシートに沿って多くの項目を確認するので、「カット作業をしているのか、チェックしているのかわからなくなります」と田口さんは笑う。
施設内はコンパクトでありながら、作業動線は合理的なレイアウトだ。牛を生体から解体して枝肉にする工程は一直線に配置され、奥へ進むにつれて解体作業が進行していく。頭部や内臓などは、メインのラインから枝分かれするように別の作業場へ。一番奥は冷蔵庫になっており、「五島牛」の証の印が押された枝肉がずらりと並ぶ。これを部分肉に加工して箱詰めするまでが、このセンターの業務になっている。
出迎えてくれたのは、センター長の田口太さんと業務課長の野口善正さん。不織布の白衣と帽子を着用し、長靴に履き替えて施設内へ入る。
同センターは、平成25年から26年にかけて大規模改修を行い、牛豚それぞれ処理棟を分離。令和3年度には出荷口等での外部接触をなくす工事を行うなど、HACCPの厳しい基準に適合したと畜解体施設となった。
衛生管理は24人の作業員にも徹底されている。日々、チェックシートに沿って多くの項目を確認するので、「カット作業をしているのか、チェックしているのかわからなくなります」と田口さんは笑う。
施設内はコンパクトでありながら、作業動線は合理的なレイアウトだ。牛を生体から解体して枝肉にする工程は一直線に配置され、奥へ進むにつれて解体作業が進行していく。頭部や内臓などは、メインのラインから枝分かれするように別の作業場へ。一番奥は冷蔵庫になっており、「五島牛」の証の印が押された枝肉がずらりと並ぶ。これを部分肉に加工して箱詰めするまでが、このセンターの業務になっている。

と畜は、月・火・水曜日が豚、金曜日が牛。牛は1日13頭を処理して月曜日に出荷する。基本はJAを通しての委託事業として業務を請け負い、個人の業者とは直接取引で扱う。現在は個人養豚農家1軒、大規模農場3施設があり、解体された精肉は市場に出さずに業者が自ら引き取っていくため、枝肉のセリは行われない。東京市場では内臓肉は別団体へ引き渡されるが、ここではすべて業者が手にする。

冷蔵庫に並ぶ五島牛の枝肉は、A5が2~3割、A4が3割、残りがA3という割合。処女牛は張りがあり脂も良いとの評価がある中、最近では50〜100カ月の経産牛も珍重されている。
「経産牛は肉に張りがなくなりますが、ヘルシーだからと思われているのかもしれません」
そう語る野口さんの言葉に、時代のニーズの変化を感じた。
「経産牛は肉に張りがなくなりますが、ヘルシーだからと思われているのかもしれません」
そう語る野口さんの言葉に、時代のニーズの変化を感じた。
セリ場には各地から購買者

少し離れた場所には、牛のセリ場がある。場内は円形のコロシアムのような構造で、その中央に立つ子牛を購買者たちが品定めする。五島牛の評判は高く、購買者は長崎、佐賀、福岡、熊本から駆けつけ、中には青森から足を運ぶ猛者もいるという。買い付けた牛はトラックに積み、フェリーで輸送するため、離島ならではのコストもかかる。それでも「来たからには」と、勢いで何頭か買っていくこともあるそうだ。
セリ場の前面には「繁殖雌牛5300頭、早期必達」と。地域を挙げて生産量向上のために掲げている目標だ。令和8年1月現在は4578頭で、今後さらに数を増やすよう取り組みが進められている。
子牛はエサと種牛の改良で大型化もできるが、小ぶりの牛にニーズが高い傾向にある。その方が極端に大きく育てるより適度な体重で出したほうが利幅が得られるからだ。
「草の喰いが良い。無駄に肥えていない」と評される堂々とした牛の姿は、現在の世界情勢による物価高なども加わった厳しい状況を乗り越える、力強い原動力となるに違いない。
セリ場の前面には「繁殖雌牛5300頭、早期必達」と。地域を挙げて生産量向上のために掲げている目標だ。令和8年1月現在は4578頭で、今後さらに数を増やすよう取り組みが進められている。
子牛はエサと種牛の改良で大型化もできるが、小ぶりの牛にニーズが高い傾向にある。その方が極端に大きく育てるより適度な体重で出したほうが利幅が得られるからだ。
「草の喰いが良い。無駄に肥えていない」と評される堂々とした牛の姿は、現在の世界情勢による物価高なども加わった厳しい状況を乗り越える、力強い原動力となるに違いない。
赤身と脂の絶妙なバランス

「エサと水が良いから、肉質が柔らかく、きめ細かい」
五島牛に携わる方たちが口をそろえる牛肉の特長だ。言葉で聞いても、写真を見ても、実際に食べてみてこそ本質が分かる。
1軒目に訪れたのは和風レストラン「望月」。ディナーメニューの中でビーフシチューとして五島牛が姿を現した。厚手の陶器の器にグツグツと音を立てる褐色のシチューの海に、ゴロリと角切りで転がる。部位は、煮込みに適したバラとトウガラシ。ナイフを入れると、弾力がありながらホロリと崩れるような柔らかさだ。
肉の繊維を感じながらも優しい歯応えで、噛むほどに赤身の旨みが湧いてくる。脂はまろやかさとなり、シチューのコクを深めているようだ。一口大の大きさだから感じる存在感を口の中にしっかり示しながら、豊かな香りが鼻腔を抜けて余韻を残して消えていく。まるで映画のワンシーンを思わせるような一皿だった。
五島牛に携わる方たちが口をそろえる牛肉の特長だ。言葉で聞いても、写真を見ても、実際に食べてみてこそ本質が分かる。
1軒目に訪れたのは和風レストラン「望月」。ディナーメニューの中でビーフシチューとして五島牛が姿を現した。厚手の陶器の器にグツグツと音を立てる褐色のシチューの海に、ゴロリと角切りで転がる。部位は、煮込みに適したバラとトウガラシ。ナイフを入れると、弾力がありながらホロリと崩れるような柔らかさだ。
肉の繊維を感じながらも優しい歯応えで、噛むほどに赤身の旨みが湧いてくる。脂はまろやかさとなり、シチューのコクを深めているようだ。一口大の大きさだから感じる存在感を口の中にしっかり示しながら、豊かな香りが鼻腔を抜けて余韻を残して消えていく。まるで映画のワンシーンを思わせるような一皿だった。

続いて、店頭のモダンな格子が夜闇に浮かび、まるで都心の洗練されたレストランを思わせる「城―JO―」では、五島牛のステーキを堪能した。厚さ約2センチ、幅約15センチのステーキとともにスティック状の地元産のニンジンを添えて皿を彩る。
シンシンを使用し、赤身の甘みとコクが心地良く広がり、脂もサッパリとしてくどさがない。添えられた塩や醤油をつけて口に含むと、表面の焼き目の香ばしさが引き立つ。しっとりと柔らかい感触でありながら、弾力のある歯応えが旨味を増幅させた。
赤身の美味しさを重視し、脂の多い部位は使わないのがシェフの肉の選び方。赤身と脂のバランスの良さに重点を置くそうだ。五島牛に携わる方たちが美味しさに自信を持っていたことに、五感でもって納得させられた。
このレストランは、肥育と販売、そして飲食を一貫して手がける㈱山口Farmが運営している。旅の最後に、同社の牛舎と精肉店を訪問することになっている。
シンシンを使用し、赤身の甘みとコクが心地良く広がり、脂もサッパリとしてくどさがない。添えられた塩や醤油をつけて口に含むと、表面の焼き目の香ばしさが引き立つ。しっとりと柔らかい感触でありながら、弾力のある歯応えが旨味を増幅させた。
赤身の美味しさを重視し、脂の多い部位は使わないのがシェフの肉の選び方。赤身と脂のバランスの良さに重点を置くそうだ。五島牛に携わる方たちが美味しさに自信を持っていたことに、五感でもって納得させられた。
このレストランは、肥育と販売、そして飲食を一貫して手がける㈱山口Farmが運営している。旅の最後に、同社の牛舎と精肉店を訪問することになっている。

食事の最中、店の看板に描かれた豚の鼻のロゴが目に付いた。何を意味しているのか聞いてみたい。楽しみが増えた。
(続く)
(続く)
牛肉とアスパラのみそ炒め
アスパラの食感と牛肉の厚みで食べ応えを
牛肉とキャベツの甘みそ炒め
春の柔らかいキャベツを使って焼き肉のように
牛肉の菜の花巻き焼き
菜の花を使って春の香りを包んだ巻き焼
焼き肉のせ白菜サラダ
冬野菜の白菜と牛肉の旨味でたっぷり食べられるサラダ
ローストビーフのミルフィーユ
クリスマスのテーブルを彩るローストビーフを使った一品
牛しゃぶとかぶの重ね蒸し
かぶと牛肉を蒸して美味しさも栄養価もばっちり
牛小間だんごとしいたけの甘酢炒め
牛肉のおいしさをギュッと肉団子に
豚肉とナスのうま煮
豚バラの脂をなすに吸わせておいしく
にらダレ牛焼き肉
香りの強いにらを使ったタレはパンチのきいた味
豚しゃぶと春キャベツのゆずこしょう蒸し
キャベツと新玉ねぎが豚肉に春の香りをまとわせる
焼き肉 おろしトマトダレ
相性抜群の豚肉と玉ねぎで味も栄養も引き立てあうステーキに。
牛肉のアスパラ巻き焼き
旬のアスパラの長さを生かし、牛肉を巻きつけて焼く簡単メニュー
豚肉と新玉ねぎのステーキ
相性抜群の豚肉と玉ねぎで味も栄養も引き立てあうステーキに。
牛肉とスナップえんどうの塩炒め
焼き肉用の牛肉を使い旬のスナップえんどうで彩りもきれいに春らしく。






















