(有)肉のクボタ
久保田浩嗣社長を中心に健嗣工場長(左)、英嗣常務(右)の3兄弟で新たな歴史を
藍染の半纏、それを着ている人たちが写るセピア色の写真、「陸軍各大学御用」の文字とともに精肉店のイラストがある商店街のすごろく。どれも㈲肉のクボタ(久保田浩嗣社長、立川市羽衣町)の長い歴史を物語る宝物だ。コロナ禍にあって様々に変化が求められる時代に、久保田さん兄弟と従業員が一丸となり新たな歴史と宝を作りだしている。
藍染の半纏、それを着ている人たちが写るセピア色の写真、「陸軍各大学御用」の文字とともに精肉店のイラストがある商店街のすごろく。どれも㈲肉のクボタ(久保田浩嗣社長、立川市羽衣町)の長い歴史を物語る宝物だ。コロナ禍にあって様々に変化が求められる時代に、久保田さん兄弟と従業員が一丸となり新たな歴史と宝を作りだしている。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:042-522-2020 FAX:042-523-2984 |
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住所 | 〒190-0021 立川市羽衣町2-5-9 |
店舗PR、お知らせなど
会社の歴史の語り部でもある昭和初期に使われていた半纏
立川の歴史と歩む
同社の歴史は古い。明治22年(1889年)、甲武鉄道(現JR中央線)が立川まで開通したのに合わせ駅前が発展。その中に「久保田肉店」として初代・金七さんが店舗を構えたことが、立川歴史民俗資料館にある当時の駅北口を記録した史料に記されている。干し肉を扱いながら、食堂もやっていたらしい。
2代目の大正期には近くの陸軍立川基地が得意先になり発展、3代目は戦中の食糧統制下で困難な時代を切り抜けた。叔父の昌三さんが4代目となったが病を得て、その弟である父・喜久さんが昭和45年に31歳で5代目となった。
当時は小売りに比重を置いた展開をしていたが、周辺にスーパーの勢いが。平成5年に現在の場所への移転を機に卸業へ。地域に多くの顧客を持ち、青森県黒石市のねぶたを羽衣仕様にした「立川羽衣ねぶた祭り」では祭りの会長して先頭に立つなど、地域と商店街とともに歩んだ。
久保田さんが家業の陣列に加わったのは平成21年。それまでは、大学卒業後に社会勉強で金融マンとして勤務し、そのまま約20年が経過。喜久さんが体調を崩したため家業に入り、専務として会社の舵取りを始めた。
同社の歴史は古い。明治22年(1889年)、甲武鉄道(現JR中央線)が立川まで開通したのに合わせ駅前が発展。その中に「久保田肉店」として初代・金七さんが店舗を構えたことが、立川歴史民俗資料館にある当時の駅北口を記録した史料に記されている。干し肉を扱いながら、食堂もやっていたらしい。
2代目の大正期には近くの陸軍立川基地が得意先になり発展、3代目は戦中の食糧統制下で困難な時代を切り抜けた。叔父の昌三さんが4代目となったが病を得て、その弟である父・喜久さんが昭和45年に31歳で5代目となった。
当時は小売りに比重を置いた展開をしていたが、周辺にスーパーの勢いが。平成5年に現在の場所への移転を機に卸業へ。地域に多くの顧客を持ち、青森県黒石市のねぶたを羽衣仕様にした「立川羽衣ねぶた祭り」では祭りの会長して先頭に立つなど、地域と商店街とともに歩んだ。
久保田さんが家業の陣列に加わったのは平成21年。それまでは、大学卒業後に社会勉強で金融マンとして勤務し、そのまま約20年が経過。喜久さんが体調を崩したため家業に入り、専務として会社の舵取りを始めた。
半纏をまとった昭和6年撮影の店舗の写真。久保田さんのスマホケースもこの写真に
会社員経験生かし
力を発揮したのは資金面だ。資料を求めると、喜久さんは「俺の頭の中だ」。金融マンの知識と経験を生かして、銀行との金利交渉が円滑に進むようまとめ、戦略的に資金を用意する地盤を整えた。徐々に業務を任され、5年してから社長に。喜久さんは、一歩引いた立場で見守った。
人材もそろえた。三兄弟の三男・英嗣さんは、10代のうちから後を継ぐべく包丁を手に作業場に立ち、現在は営業でも活躍する。次男・健嗣さんは和食・洋食とも丁寧な仕事をする料理人として勤めながら企業の厨房を統括。昨秋から同社に入社し衛生管理などに注力している。
昨年亡くなった先代までは家業としての色彩が濃かったが、金融、営業、衛生管理と、三兄弟の得意分野で会社勤めの経験を生かせる体制を整えた。それは会社だけでなく従業員の将来にも、還元していくことを意識している。
改革の目は、特に若い社員へ向けた。早朝からの長時間勤務では疲弊してしまうと、人数を増やして労働時間を改善。結婚や家庭での時間を、会社が阻害要因とならないよう努めた。サービス残業で終電が当たり前だった久保田さんの、会社員経験から発した取り組みでもある。
若い人材は同世代の社員の紹介による入社が多い。仕事の長所短所、社内の状況、顧客など全て話し、仕事体験を。こうした方法で定着しただけでなく、ベテランにも良い刺激になっており、社内に活気が出た。
作業場ではベテランが若い社員に技術を丁寧に伝えている。技術継承は複数人での指導が必要なので、ベテランの活躍が欠かせない。また、飲食店のニーズに合った部位や加工を理解し、提案できる力も養っている。ここでは健嗣さん、英嗣さんが腕を振るう。ベテランについては「本人が辞めると言うまでは勤めてもらおうと思う」と、人材を大切にしている。
就職氷河期に社会人となり、派遣社員を続けてきた社員が語った。家族のように温かい職場環境に「社会人になって、こんなに会社の人と話したり、笑ったりしたのは初めて」。胸を熱くした久保田さんは「正社員になるチャンスがなかった若い人に入社してもらって、その人の人生が明るくなれば」と、今後の展開の柱の一つにしている。
力を発揮したのは資金面だ。資料を求めると、喜久さんは「俺の頭の中だ」。金融マンの知識と経験を生かして、銀行との金利交渉が円滑に進むようまとめ、戦略的に資金を用意する地盤を整えた。徐々に業務を任され、5年してから社長に。喜久さんは、一歩引いた立場で見守った。
人材もそろえた。三兄弟の三男・英嗣さんは、10代のうちから後を継ぐべく包丁を手に作業場に立ち、現在は営業でも活躍する。次男・健嗣さんは和食・洋食とも丁寧な仕事をする料理人として勤めながら企業の厨房を統括。昨秋から同社に入社し衛生管理などに注力している。
昨年亡くなった先代までは家業としての色彩が濃かったが、金融、営業、衛生管理と、三兄弟の得意分野で会社勤めの経験を生かせる体制を整えた。それは会社だけでなく従業員の将来にも、還元していくことを意識している。
改革の目は、特に若い社員へ向けた。早朝からの長時間勤務では疲弊してしまうと、人数を増やして労働時間を改善。結婚や家庭での時間を、会社が阻害要因とならないよう努めた。サービス残業で終電が当たり前だった久保田さんの、会社員経験から発した取り組みでもある。
若い人材は同世代の社員の紹介による入社が多い。仕事の長所短所、社内の状況、顧客など全て話し、仕事体験を。こうした方法で定着しただけでなく、ベテランにも良い刺激になっており、社内に活気が出た。
作業場ではベテランが若い社員に技術を丁寧に伝えている。技術継承は複数人での指導が必要なので、ベテランの活躍が欠かせない。また、飲食店のニーズに合った部位や加工を理解し、提案できる力も養っている。ここでは健嗣さん、英嗣さんが腕を振るう。ベテランについては「本人が辞めると言うまでは勤めてもらおうと思う」と、人材を大切にしている。
就職氷河期に社会人となり、派遣社員を続けてきた社員が語った。家族のように温かい職場環境に「社会人になって、こんなに会社の人と話したり、笑ったりしたのは初めて」。胸を熱くした久保田さんは「正社員になるチャンスがなかった若い人に入社してもらって、その人の人生が明るくなれば」と、今後の展開の柱の一つにしている。
戦前の商店街のすごろく。 「陸軍各大学御用」とある
飲食店の力信じて
コロナ禍にあってからは、卸業は苦闘の最中だ。顧客の飲食店が営業時間を短縮、または廃業するなどで、発注数や重量が減少。普段は1日600件の顧客に向けて精肉をさばく作業場も朝5時から始めて昼過ぎには静まる。
配送の外注中止のように経費の削減を進めるなど、厳しい状況ながらも一つひとつ手を打つ。GOTOキャンペーンの時期に売り上げは8割まで回復したが、最近は前年同月比の半分となった。こうした中で影響が少ない介護施設や保育園などの公的な施設は、心強い顧客だ。新規の飲食店からの注文の問い合わせもあり、明るい材料も。
飲食店は来店客のターゲットも広く、最近の肉ブームもある。あらゆる環境が変わっても、「飲食業界はたくましいから、新しい展開をして伸ばしていくでしょう。悲観はしていない」と前向きだ。
◇
三兄弟に若手とベテラン、その家族。一人ひとりが顔の見える本当の家族のよう。そこから生まれる社員の結束力と、それぞれに持つ特技、時代に合わせた運営。これらこそ困難な時代に光を放つ歴史であり宝となりそうだ。
【「東京食肉新報」2021年(令和3年)3月号掲載】
コロナ禍にあってからは、卸業は苦闘の最中だ。顧客の飲食店が営業時間を短縮、または廃業するなどで、発注数や重量が減少。普段は1日600件の顧客に向けて精肉をさばく作業場も朝5時から始めて昼過ぎには静まる。
配送の外注中止のように経費の削減を進めるなど、厳しい状況ながらも一つひとつ手を打つ。GOTOキャンペーンの時期に売り上げは8割まで回復したが、最近は前年同月比の半分となった。こうした中で影響が少ない介護施設や保育園などの公的な施設は、心強い顧客だ。新規の飲食店からの注文の問い合わせもあり、明るい材料も。
飲食店は来店客のターゲットも広く、最近の肉ブームもある。あらゆる環境が変わっても、「飲食業界はたくましいから、新しい展開をして伸ばしていくでしょう。悲観はしていない」と前向きだ。
◇
三兄弟に若手とベテラン、その家族。一人ひとりが顔の見える本当の家族のよう。そこから生まれる社員の結束力と、それぞれに持つ特技、時代に合わせた運営。これらこそ困難な時代に光を放つ歴史であり宝となりそうだ。
【「東京食肉新報」2021年(令和3年)3月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ