小島精肉店
「良い音するよ」。スイッチを入れたスライサーが小島精肉店(小島利夫社長、豊島区池袋本町)の店内で、会話の声も聞こえないほどの轟音を立てる。機械を触るのが好きな小島さんが調整してみたところ、モーターのベアリングの具合が悪いらしい。数十年も使い込んでの現象ではなく、10年前に中古で買ってからのものと。しかし、お店にはその轟音よりも賑やかな繁盛の歴史があった。
店主より一言
店舗情報
営業時間 | 9:00~20:00(日曜日定休) |
---|---|
連絡先 |
TEL:03-3981-4415 FAX:03-5954-5619 |
住所 | 〒170-0011 豊島区池袋本町4-17-3 |
店舗PR、お知らせなど
きれいなサシの入った牛肉を手に調理のコツなどを語る
東京オリンピックが行われた昭和39年に開業。現在の屋号に改める昭和48年まで「住吉」として、東武東上線下板橋駅から伸びる商店街に店舗を構えた。駅から徒歩3分と立地条件が良く、人通りも多かったため、夕方にもなると買い物の順番を争うお客で列ができるほどに繁盛した。
お店のレイアウトにも配慮した。道路に面した店舗の角は多くの人の目に触れるので、すっきりときれいに。細切れ肉の盛り付けは、ボリューム感を出してショーケースへ。肉が美味しそうに見えるよう、種類に応じた配置も心がけた。さまざまな点に見栄えがするよう工夫すると、それらが売り上げにつながっていく手応えがあった。
近隣にスーパーが進出した際には店内に出店を促され、売り上げはさらに増加。暮れには鶏モモ肉を前日に用意しても、すべて売り切れるほどの繁盛ぶりに。
お店のレイアウトにも配慮した。道路に面した店舗の角は多くの人の目に触れるので、すっきりときれいに。細切れ肉の盛り付けは、ボリューム感を出してショーケースへ。肉が美味しそうに見えるよう、種類に応じた配置も心がけた。さまざまな点に見栄えがするよう工夫すると、それらが売り上げにつながっていく手応えがあった。
近隣にスーパーが進出した際には店内に出店を促され、売り上げはさらに増加。暮れには鶏モモ肉を前日に用意しても、すべて売り切れるほどの繁盛ぶりに。
政子さんが手際よく惣菜メニューを用意する
質とトークで勝負
「サシが白く入って、きれいでしょ。焼肉にすると最高だよ」
上質な牛肉を手に、小島さんが品質の良さと食べ方を語る。ショーケースには北海道、宮城、福島、広島と、A5の牛肉は多彩な産地のものが。赤身と脂のバランスの良い、つやのある豚肉と鶏肉も店頭を彩る。
料理に詳しくないお客でもお肉の美味しさが楽しめるよう、料理に合わせた食べ方を提案。そのため、冬の定番であるしゃぶしゃぶ用の肉は、夏でも良く売れるように。牛肉の細切れには牛脂を加えるようアドバイスするなど、コツを説明すれば売れていくし、また買いに来てくれると、対面販売への確信がこもる。
「質で勝負しないと。価格ではスーパーに適わないから」
さらに自信を持って勧めるのは、豚ロースの味噌漬けだ。茶褐色で香り高い味噌は、いろいろと自らアレンジしてたどり着いた味。フライパンなどで焼き、肉を噛むたびに香ばしく焼けた味噌の旨みと脂の甘さが溶けあう。他店や通販で取り寄せたものと比べても引けを取らず、故郷へ送るお客もいるほど好評を得ている。
惣菜類をそろえるのは、妻・政子さん。作業場の端でコンパクトにまとめられた調理道具と食材を手に、下ごしらえに励む。メニューは「気まぐれで作るから、出来上がるまで何だかわからない」。煮物、シュウマイなど、晩ご飯のおかずにふさわしい、家庭的なものばかりだ。揚げ物はコロッケ、メンチの定番から、串カツ、カレーコロッケ、アジとイカのフライなどと豊富で、唐揚げは一番人気。
近隣は住宅街で庶民的な町なので、お店の雰囲気から商品まで、親しみが持てるものばかり。「来てくれたお客には、なるべくサービスする」小島さん夫婦の人柄も加わって、地域の常連客は散歩の寄り道に、若い主婦は保育園のお迎えの途中に寄っていくなど、長年にわたりリピーターとなっている。
以前、アメリカンドッグを販売していると、「ゴキブリが入っていた」とクレームが。本当に入っていたなら、アメリカンドッグの形から一目でわかるはず、と訴えても保健所へ通報された。しかし、保健所の反応は「小島さんが、そんなことするはずない」と。日頃の仕事への誠意と、保健所の役員も務めたりする貢献ぶりで、縁をした人たちから信頼を得ていることを証明する出来事だった。
区画整理が間近に
そのようなことを積み重ねて、今年で53年。現在、大きな転機に直面している。目の前の道路が拡張工事の対象となり、近隣の店舗や住宅の立ち退きが決まった。幸い同店は残るものの、約800所帯が移転を余儀なくされる。今までの常連客にも影響がありそうだ。
しかし、現在のお客は近隣よりも遠くから来ることが多く、商店街が賑やかだったころの常連客も顔を出す。小中学校の頃に通っていたという主婦が昔を懐かしみ、来店することも。
拡張後は、交通量が多くなるであろう道路に店舗が面することになる。それだけに、多くの人の目に触れ、新しい可能性も生まれそうだ。
「やめるのは簡単だけど、来てくれるお客さんを大事にしてきたから」
開業時に行われた東京オリンピックが、近年再び。その時にも、競技の歓声の大きさに負けないスライサーの轟音が響いているに違いない。
【「東京食肉新報」平成29年(2017年)11月号掲載】
「サシが白く入って、きれいでしょ。焼肉にすると最高だよ」
上質な牛肉を手に、小島さんが品質の良さと食べ方を語る。ショーケースには北海道、宮城、福島、広島と、A5の牛肉は多彩な産地のものが。赤身と脂のバランスの良い、つやのある豚肉と鶏肉も店頭を彩る。
料理に詳しくないお客でもお肉の美味しさが楽しめるよう、料理に合わせた食べ方を提案。そのため、冬の定番であるしゃぶしゃぶ用の肉は、夏でも良く売れるように。牛肉の細切れには牛脂を加えるようアドバイスするなど、コツを説明すれば売れていくし、また買いに来てくれると、対面販売への確信がこもる。
「質で勝負しないと。価格ではスーパーに適わないから」
さらに自信を持って勧めるのは、豚ロースの味噌漬けだ。茶褐色で香り高い味噌は、いろいろと自らアレンジしてたどり着いた味。フライパンなどで焼き、肉を噛むたびに香ばしく焼けた味噌の旨みと脂の甘さが溶けあう。他店や通販で取り寄せたものと比べても引けを取らず、故郷へ送るお客もいるほど好評を得ている。
惣菜類をそろえるのは、妻・政子さん。作業場の端でコンパクトにまとめられた調理道具と食材を手に、下ごしらえに励む。メニューは「気まぐれで作るから、出来上がるまで何だかわからない」。煮物、シュウマイなど、晩ご飯のおかずにふさわしい、家庭的なものばかりだ。揚げ物はコロッケ、メンチの定番から、串カツ、カレーコロッケ、アジとイカのフライなどと豊富で、唐揚げは一番人気。
近隣は住宅街で庶民的な町なので、お店の雰囲気から商品まで、親しみが持てるものばかり。「来てくれたお客には、なるべくサービスする」小島さん夫婦の人柄も加わって、地域の常連客は散歩の寄り道に、若い主婦は保育園のお迎えの途中に寄っていくなど、長年にわたりリピーターとなっている。
以前、アメリカンドッグを販売していると、「ゴキブリが入っていた」とクレームが。本当に入っていたなら、アメリカンドッグの形から一目でわかるはず、と訴えても保健所へ通報された。しかし、保健所の反応は「小島さんが、そんなことするはずない」と。日頃の仕事への誠意と、保健所の役員も務めたりする貢献ぶりで、縁をした人たちから信頼を得ていることを証明する出来事だった。
区画整理が間近に
そのようなことを積み重ねて、今年で53年。現在、大きな転機に直面している。目の前の道路が拡張工事の対象となり、近隣の店舗や住宅の立ち退きが決まった。幸い同店は残るものの、約800所帯が移転を余儀なくされる。今までの常連客にも影響がありそうだ。
しかし、現在のお客は近隣よりも遠くから来ることが多く、商店街が賑やかだったころの常連客も顔を出す。小中学校の頃に通っていたという主婦が昔を懐かしみ、来店することも。
拡張後は、交通量が多くなるであろう道路に店舗が面することになる。それだけに、多くの人の目に触れ、新しい可能性も生まれそうだ。
「やめるのは簡単だけど、来てくれるお客さんを大事にしてきたから」
開業時に行われた東京オリンピックが、近年再び。その時にも、競技の歓声の大きさに負けないスライサーの轟音が響いているに違いない。
【「東京食肉新報」平成29年(2017年)11月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ