(株)西島畜産
爽やかで明るい店内にスタッフの笑顔がはじける。左端が西島武彦社長
スタッフが笑顔で並ぶ。従業員であると同時に、家族のような雰囲気で。「肉屋らしくない肉屋」と㈱西島畜産(中野区新井)の西島武彦社長は、店舗の雰囲気をこう評す。そこには、従来の「町のお肉屋さん」のイメージを覆すさまざまな取り組みで、全スタッフが働きやすい職場づくりが実現していた。娘の可奈子さんも今年からスタッフに加わり、店舗の明るさは増すばかりだ。
スタッフが笑顔で並ぶ。従業員であると同時に、家族のような雰囲気で。「肉屋らしくない肉屋」と㈱西島畜産(中野区新井)の西島武彦社長は、店舗の雰囲気をこう評す。そこには、従来の「町のお肉屋さん」のイメージを覆すさまざまな取り組みで、全スタッフが働きやすい職場づくりが実現していた。娘の可奈子さんも今年からスタッフに加わり、店舗の明るさは増すばかりだ。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3386-0298 FAX:03-3386-4129 |
---|---|
住所 | 〒165-0026 中野区新井5-16-2 |
URL | http://n-meat.co.jp/ |
店舗PR、お知らせなど
行列ができる創業当時の店舗
喫茶店かパン屋かと思えるようなおしゃれな外観。黒のシャツに赤いエプロンと、シックなデザインのユニフォームでスタッフがお客を迎える。木目調で明るい内装に、見やすいショーケースが肉の見た目の良さを引き立てているようだ。
しかし、21年前までは血で汚れた白衣で作業する「3K職場」だった。肉屋のマイナスイメージを払拭しようと、西島社長は10年ごとに店舗を改装。きれいで衛生的な、誰もが仕事をしやすい職場を目指して、店舗の設備やデザインを近代的な作りに改良し、スタッフの負担を少なくした。また、おしゃれなユニフォームを新調。やることが幅広く多量の業務になりがちな店舗の仕事も、接客や仕込みなどを分業化し、スタッフの得手不得手を見極めて適材適所に配置した。これらが奏功し、若者が持つ抵抗感が減って入社希望が増え、店のイメージアップにもつながった。
明るい雰囲気に近隣の顧客も関心を集め、売上も増加。店舗は昨年に改装したばかりで、「もっと面白く、もっと良くしたい」と、周辺の同業者が減少していく中で、あえて挑戦の行動に出たことが、結果と現れている。
牛に惚れ込んで
1937年に創業した先代社長の武さんは、牛肉には強いこだわりを持った。ついには近江牛を買うために現地へ足を運んで品定めをし、気に入ったものだけを買ってくるという徹底ぶりだ。武さんを飛躍させたのは、まだ知名度のなかった大田原牛。生きているメス牛を中心に姿かたちを吟味し、気に入ればその場にいた牛をすべて買い取るほどに惚れ込んだ。やがて同業者の間では、高品質な牛肉が買えると、武さんに評判が集まった。
輸入牛の販売が増えていく時代にあっても、全く手を出さずに「美味しいものしか売らない」と納得したものを安く出し続けた。戦後の食糧難を生き抜き、自らがグルメであっただけに、その信念を貫き通した。
ただ高品質な牛肉を集めているだけではない。武さんの代から牛は「1頭買い」の「1頭売り」をすることで、納得の品質と安さを実現。さらに、熟成させて食べごろの状態で提供する「エイジング」が人気の秘密だ。問屋を通すと真空パックなどで入荷するのでタイミングを計るのが難しいが、枝肉で買えば様子を見ながらベストの状態で提供ができる。
それには量が売れる必要があるが、同店ではブロックは全てカットし、半丸は一日で売り切る。ロスのリスクは出るものの、評判が評判を呼び、確実な量がさばけてしまう。
そのピークがお歳暮とお中元の時期。年末ともなれば、1000箱もの注文が入る。日頃の宣伝効果もあるが、決め手は美味しい肉を贈ってもらった人が自分で注文したり別の人に贈ったりする注文の連鎖。あまりの激務に西島社長は「肉屋をやめようか」と冗談を飛ばすほどだ。
「緻密な計算をしなければ、これからの肉屋は生き残れない」と昔は通じた丼勘定ではなく、販売戦略、原価計算など、細部にわたり配慮する。
しかし、21年前までは血で汚れた白衣で作業する「3K職場」だった。肉屋のマイナスイメージを払拭しようと、西島社長は10年ごとに店舗を改装。きれいで衛生的な、誰もが仕事をしやすい職場を目指して、店舗の設備やデザインを近代的な作りに改良し、スタッフの負担を少なくした。また、おしゃれなユニフォームを新調。やることが幅広く多量の業務になりがちな店舗の仕事も、接客や仕込みなどを分業化し、スタッフの得手不得手を見極めて適材適所に配置した。これらが奏功し、若者が持つ抵抗感が減って入社希望が増え、店のイメージアップにもつながった。
明るい雰囲気に近隣の顧客も関心を集め、売上も増加。店舗は昨年に改装したばかりで、「もっと面白く、もっと良くしたい」と、周辺の同業者が減少していく中で、あえて挑戦の行動に出たことが、結果と現れている。
牛に惚れ込んで
1937年に創業した先代社長の武さんは、牛肉には強いこだわりを持った。ついには近江牛を買うために現地へ足を運んで品定めをし、気に入ったものだけを買ってくるという徹底ぶりだ。武さんを飛躍させたのは、まだ知名度のなかった大田原牛。生きているメス牛を中心に姿かたちを吟味し、気に入ればその場にいた牛をすべて買い取るほどに惚れ込んだ。やがて同業者の間では、高品質な牛肉が買えると、武さんに評判が集まった。
輸入牛の販売が増えていく時代にあっても、全く手を出さずに「美味しいものしか売らない」と納得したものを安く出し続けた。戦後の食糧難を生き抜き、自らがグルメであっただけに、その信念を貫き通した。
ただ高品質な牛肉を集めているだけではない。武さんの代から牛は「1頭買い」の「1頭売り」をすることで、納得の品質と安さを実現。さらに、熟成させて食べごろの状態で提供する「エイジング」が人気の秘密だ。問屋を通すと真空パックなどで入荷するのでタイミングを計るのが難しいが、枝肉で買えば様子を見ながらベストの状態で提供ができる。
それには量が売れる必要があるが、同店ではブロックは全てカットし、半丸は一日で売り切る。ロスのリスクは出るものの、評判が評判を呼び、確実な量がさばけてしまう。
そのピークがお歳暮とお中元の時期。年末ともなれば、1000箱もの注文が入る。日頃の宣伝効果もあるが、決め手は美味しい肉を贈ってもらった人が自分で注文したり別の人に贈ったりする注文の連鎖。あまりの激務に西島社長は「肉屋をやめようか」と冗談を飛ばすほどだ。
「緻密な計算をしなければ、これからの肉屋は生き残れない」と昔は通じた丼勘定ではなく、販売戦略、原価計算など、細部にわたり配慮する。
チラシやポップは可奈子さんが作成。かわいらしいデザインでお客にも好評
日本一幸せな お肉屋さんに
これだけにとどまらず、可奈子さんはメールマガジンやチラシ、ウェブを活用して、さらに販路拡大を目指している。今までの特売日だけでなく、毎月1日を「ステーキの日」と決めたり、「父の日」に合わせた売り出しをしたりと、イベントを実した。
それを「女性目線」で作った手描きでかわいらしいデザインのチラシで告知。「読まずに捨てられちゃうかな」と思っていたが、スタッフの紹介をしたコラムがきっかけで、スタッフとお客との会話が弾むようになった。「焼肉店、楽しみにしているよ」と可奈子さんの夢が話題になったことも。
今春に全国食肉学校(群馬県)を優秀な成績で卒業。在学中の研修では京都の精肉店で関西の牛肉文化に刺激を受けるとともに、商品力や販促技法に興味を持ち、自分で焼肉店を開業する夢が芽生えた。中野周辺は再開発が進んでいるので、「5年以内に」形にするのが目標だ。
「東京で一番売れる店を作りたい」と様々な手を打っていく西島社長とともに、可奈子さんはスタッフ一人ひとりが「楽しい、面白い、やりがいがある」と思いながら、仕事に誇りを持ち、プライベートも充実することで、幸せを感じてもらえるようにしたいと語る。大学卒業後に勤めた大手自動車メーカーで学んだ考え方を取り入れたいと、店での実践を模索する。
そんな可奈子さんの目標は「日本一幸せなお肉屋さん」だ。「漠然とした目標だけど、追い求めることに意味があるはず」と。実現したなら、お客やスタッフは心もお腹も満たされるに違いない。
【「東京食肉新報」2014年(平成26年)6月号掲載】
これだけにとどまらず、可奈子さんはメールマガジンやチラシ、ウェブを活用して、さらに販路拡大を目指している。今までの特売日だけでなく、毎月1日を「ステーキの日」と決めたり、「父の日」に合わせた売り出しをしたりと、イベントを実した。
それを「女性目線」で作った手描きでかわいらしいデザインのチラシで告知。「読まずに捨てられちゃうかな」と思っていたが、スタッフの紹介をしたコラムがきっかけで、スタッフとお客との会話が弾むようになった。「焼肉店、楽しみにしているよ」と可奈子さんの夢が話題になったことも。
今春に全国食肉学校(群馬県)を優秀な成績で卒業。在学中の研修では京都の精肉店で関西の牛肉文化に刺激を受けるとともに、商品力や販促技法に興味を持ち、自分で焼肉店を開業する夢が芽生えた。中野周辺は再開発が進んでいるので、「5年以内に」形にするのが目標だ。
「東京で一番売れる店を作りたい」と様々な手を打っていく西島社長とともに、可奈子さんはスタッフ一人ひとりが「楽しい、面白い、やりがいがある」と思いながら、仕事に誇りを持ち、プライベートも充実することで、幸せを感じてもらえるようにしたいと語る。大学卒業後に勤めた大手自動車メーカーで学んだ考え方を取り入れたいと、店での実践を模索する。
そんな可奈子さんの目標は「日本一幸せなお肉屋さん」だ。「漠然とした目標だけど、追い求めることに意味があるはず」と。実現したなら、お客やスタッフは心もお腹も満たされるに違いない。
【「東京食肉新報」2014年(平成26年)6月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ