マイスタームラカミ
ブランド名がついた牛豚鶏の精肉を前に村上さん(左端)と従業員の皆さん
ドイツ風のデザインをした店舗の煙突からは煙が立ち上がり、辺りは燻製の香しさに包まれる。マイスタームラカミ(村上繁社長、武蔵野市)には、看板メニューであるハムとソーセージがズラリ。一般の精肉店では目にできないような商品を50~60種もそろえ、お肉の美味しさを知っているからこそできる製法で作られたものばかりだ。ここまで作り続けてきた背景には、食肉の安全への使命感と、独学で技術を習得した執念があった。
ドイツ風のデザインをした店舗の煙突からは煙が立ち上がり、辺りは燻製の香しさに包まれる。マイスタームラカミ(村上繁社長、武蔵野市)には、看板メニューであるハムとソーセージがズラリ。一般の精肉店では目にできないような商品を50~60種もそろえ、お肉の美味しさを知っているからこそできる製法で作られたものばかりだ。ここまで作り続けてきた背景には、食肉の安全への使命感と、独学で技術を習得した執念があった。
店主より一言
店舗はドイツ風にデザインされ辺りには燻製の香りが
店舗情報
営業時間 | 9:00~19:00(日曜・祝日定休) |
---|---|
連絡先 |
TEL:0422-32-3166 FAX:0422-32-3167 |
住所 | 〒180-0023 武蔵野市境南町3-19-8 |
URL | http://www.ham-murakami.co.jp/ |
店舗PR、お知らせなど
種類豊富なハムを目当てに来店するお客も多い
店舗に入った正面には、牛豚鶏の精肉が整然と並ぶ。どれも産地やブランドの名を冠した上質な国産肉だ。その上お手頃価格なので、夕方になると近隣の主婦を中心に客足が途絶えることがない。
その横でさらに目を引くのが、おしゃれなパッケージやボリューム感のある姿のハムとソーセージ。慣れたお客は聞き慣れない名前のハムを次々と注文し、味の違いや美味しい食べ方などを店員に尋ねている。
「種類は、まだ増えています。ドイツでは200種なんて当たり前ですから」
その横でさらに目を引くのが、おしゃれなパッケージやボリューム感のある姿のハムとソーセージ。慣れたお客は聞き慣れない名前のハムを次々と注文し、味の違いや美味しい食べ方などを店員に尋ねている。
「種類は、まだ増えています。ドイツでは200種なんて当たり前ですから」
ハム、ソーセージが並ぶ中で掲げられているオランダ、ドイツでの品評会の賞状
多くの壁を越えて
昭和40年代、食肉業界を揺るがす出来事が立て続けに起きた。防腐剤として強い殺菌力を持った薬品が食品へ添加されていたり、大手食肉メーカーが問題のある原材料で加工肉を製造したり。こうした状況に疑問を持った村上さんは、保存料を使わないハムとソーセージを「小売店が作るべきだ」と決意。製造のために必要な知識や法律などは「何も知らない」まま、行動を起こした。
保健所に相談すると、けんもほろろ。法律や設備基準、資格など、いろいろな壁が立ちはだかる。関係するところへ何度も足を運び、必要な情報を集めて準備をしては協力を仰いだ。時に門前払いになりながらも、やがて理解者も現れ活路が次第に開けてきた。
製法は独学だった。試行錯誤を繰り返す中、実習に使う精肉の取引があった縁で、日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)の講師に教えを乞う。何度も頼み込み、現役の学生に混じりながら実習に同席。肉や材料、製法などの基本を学んだ当時の教材は、いまでも手元にある「バイブル」だ。ハム、ソーセージ、ベーコンと研鑚を重ね、添加物を加えないことを条件に保険所から製造販売の許可が下りた。
その情熱は、ドイツへ足を向かわせた。何度も訪問を重ね、現地の精肉店を視察。精肉より加工肉のスペースが大きく、種類も多いことにカルチャーショックを受ける。人口7000人の別荘地でも上々の売上が出せることにも驚いた。現地での調理法、レストランやケータリングなどへの事業展開など、刺激になるものばかり。お店の展開のビジョンも養われていった。
店舗内のハムが並ぶショーケースの後ろには、ドイツとオランダでのハム、ソーセージの品評会の賞状が。レシピ通りに作り、味、見た目など、厳しい審査。日本との味覚や食材の違い、気候の変化など、さまざまな要因がある中での表彰は、本場ドイツも認めた味であると同時に、村上さんの努力の結晶でもある。
「賞を取って初めて職人として認められただけ」と笑う。
昭和40年代、食肉業界を揺るがす出来事が立て続けに起きた。防腐剤として強い殺菌力を持った薬品が食品へ添加されていたり、大手食肉メーカーが問題のある原材料で加工肉を製造したり。こうした状況に疑問を持った村上さんは、保存料を使わないハムとソーセージを「小売店が作るべきだ」と決意。製造のために必要な知識や法律などは「何も知らない」まま、行動を起こした。
保健所に相談すると、けんもほろろ。法律や設備基準、資格など、いろいろな壁が立ちはだかる。関係するところへ何度も足を運び、必要な情報を集めて準備をしては協力を仰いだ。時に門前払いになりながらも、やがて理解者も現れ活路が次第に開けてきた。
製法は独学だった。試行錯誤を繰り返す中、実習に使う精肉の取引があった縁で、日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)の講師に教えを乞う。何度も頼み込み、現役の学生に混じりながら実習に同席。肉や材料、製法などの基本を学んだ当時の教材は、いまでも手元にある「バイブル」だ。ハム、ソーセージ、ベーコンと研鑚を重ね、添加物を加えないことを条件に保険所から製造販売の許可が下りた。
その情熱は、ドイツへ足を向かわせた。何度も訪問を重ね、現地の精肉店を視察。精肉より加工肉のスペースが大きく、種類も多いことにカルチャーショックを受ける。人口7000人の別荘地でも上々の売上が出せることにも驚いた。現地での調理法、レストランやケータリングなどへの事業展開など、刺激になるものばかり。お店の展開のビジョンも養われていった。
店舗内のハムが並ぶショーケースの後ろには、ドイツとオランダでのハム、ソーセージの品評会の賞状が。レシピ通りに作り、味、見た目など、厳しい審査。日本との味覚や食材の違い、気候の変化など、さまざまな要因がある中での表彰は、本場ドイツも認めた味であると同時に、村上さんの努力の結晶でもある。
「賞を取って初めて職人として認められただけ」と笑う。
87歳でも店頭に立つ村上さん
店の展開に時代が
父が兵庫県養父町で養鶏業を営んでいたが、昭和9年に養鶏が盛んだった現在の地へ移転。近隣へ養鶏技術を伝えては、鶏を仕入れて都心の問屋へ販売していた。昭和12年に店舗兼作業場を作り、村上さんも小学生時代から鶏をさばき、リヤカーを引いて養鶏場へ卵を買いに歩いた。
工業高校へ進学したので、自動車会社へ就職するつもりでいた。しかし、父が体調不良となり、昭和23年に家業に入る。鶏肉と卵から豚肉も扱い始め、やがて牛肉もそろえただけでなく、惣菜も店頭に並べた。「生肉を売るのが肉屋」と言われていた時代に、1日2000個ものコロッケを売るなど、繁盛し続けてきた。
惣菜は種類豊富なコロッケやカツをそろえており、中でも最近はカツサンドが人気メニューに。両面を焼いたパンにキャベツとカツを挟んだもので、土曜日になるとネットで評判を聞いた遠方のお客が来店するなど1日100個も売れる。長年にわたって続けてきた製造販売の底力が思わぬ形で表れた。
また、早い時期から配送業務をしていたため、小学校や保育園、老人ホームなど多くの配達先が。今ではアレルギー対策に配慮が必要なことから、同店のハム・ソーセージの信頼は、さらに高まっている。
「美味しければ、買ってもらえる。そんなになるとは思っていなかった」と、地道な取り組みに時代が味方した偶然に驚く。
◇
店舗前の道路は拡幅工事が始まっており、改装を迫られている。新たな課題を前に「私のやることはめちゃくちゃだから」「アメーバみたいに」と、図らずも時代に即した形に変化し続けたお店に、今後のビジョンを模索する。後継者となった孫の南亮太郎さんほか13人の従業員のために、87歳の「めちゃくちゃ」は止まらない。
【「東京食肉新報」2018年(平成30年)10月号掲載】
父が兵庫県養父町で養鶏業を営んでいたが、昭和9年に養鶏が盛んだった現在の地へ移転。近隣へ養鶏技術を伝えては、鶏を仕入れて都心の問屋へ販売していた。昭和12年に店舗兼作業場を作り、村上さんも小学生時代から鶏をさばき、リヤカーを引いて養鶏場へ卵を買いに歩いた。
工業高校へ進学したので、自動車会社へ就職するつもりでいた。しかし、父が体調不良となり、昭和23年に家業に入る。鶏肉と卵から豚肉も扱い始め、やがて牛肉もそろえただけでなく、惣菜も店頭に並べた。「生肉を売るのが肉屋」と言われていた時代に、1日2000個ものコロッケを売るなど、繁盛し続けてきた。
惣菜は種類豊富なコロッケやカツをそろえており、中でも最近はカツサンドが人気メニューに。両面を焼いたパンにキャベツとカツを挟んだもので、土曜日になるとネットで評判を聞いた遠方のお客が来店するなど1日100個も売れる。長年にわたって続けてきた製造販売の底力が思わぬ形で表れた。
また、早い時期から配送業務をしていたため、小学校や保育園、老人ホームなど多くの配達先が。今ではアレルギー対策に配慮が必要なことから、同店のハム・ソーセージの信頼は、さらに高まっている。
「美味しければ、買ってもらえる。そんなになるとは思っていなかった」と、地道な取り組みに時代が味方した偶然に驚く。
◇
店舗前の道路は拡幅工事が始まっており、改装を迫られている。新たな課題を前に「私のやることはめちゃくちゃだから」「アメーバみたいに」と、図らずも時代に即した形に変化し続けたお店に、今後のビジョンを模索する。後継者となった孫の南亮太郎さんほか13人の従業員のために、87歳の「めちゃくちゃ」は止まらない。
【「東京食肉新報」2018年(平成30年)10月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ