(株)アズマヤ
福田久隆社長(左から2人目)と従業員の皆さん
複数の職人が作業台を囲んで、黙々と素早く作業が進められていく。多くの得意先へ向けて精肉を扱い、配達エリアも都心を中心に幅広い業務用卸業の㈱アズマヤ(福田久隆社長、板橋区蓮沼町)は、そうした中でも店舗運営と作業場の改革などで休日を増やすなど、就業にゆとりを生み出すだけでなく業績も伸ばしてきた。その根底には、長年にわたり育まれてきた様々な人たちとのつながり方にあった。
複数の職人が作業台を囲んで、黙々と素早く作業が進められていく。多くの得意先へ向けて精肉を扱い、配達エリアも都心を中心に幅広い業務用卸業の㈱アズマヤ(福田久隆社長、板橋区蓮沼町)は、そうした中でも店舗運営と作業場の改革などで休日を増やすなど、就業にゆとりを生み出すだけでなく業績も伸ばしてきた。その根底には、長年にわたり育まれてきた様々な人たちとのつながり方にあった。
店主より一言
店舗情報
連絡先 | TEL:03-3969-4186 |
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住所 | 〒174-0052 板橋区蓮沼町73-2 |
店舗PR、お知らせなど
作業場には小売りをしていた時代の看板が残る
瞬時に肉塊をスライサーでカットしたり、山と積まれた精肉をきれいにさばいたり。得意先の様々なニーズに応じて、精肉が用意されていく。大学の学食などには輸入物を、小中学校の給食には国産を。産地はこだわらず、肉質の良い物を厳選。食肉市場だけではなく、長年の付き合いのある問屋から仕入れている。
出来上がった品物は、各方面へ配送。店舗前に並ぶ配送用トラックに積み込まれると、得意先へ急行する。その間にも、作業場では次々と職人たちが腕を振るう。
得意先を巡りつつ
縁あって新橋の精肉店に務めた父は、わずか6か月の修行で独立。昭和26年、現在の地に小売店として開業した。当時、周辺は様々な業種の商店で賑わう商店街で、近隣には町工場も多く、自転車が通れないほどの人通りがあった。いくつもの好条件に恵まれ、お店は繁盛。牛・豚・鶏をそろえ、コロッケやメンチなどの揚げ物も豊富に。お昼時や夕方になると、いつも行列ができていた。
小さい時から後継の道を期待されていた福田さんが初めて家業に携わったのは、小学校3年生の時。小さな体に合わせて作った白衣を父から受け取ると、得意先の配達についていった。高校を卒業すると、食肉学校を経て神田の精肉店で修行。約2年にわたり、精肉の扱いはもちろん、得意先の配達を通してバックヤードを見学したり、流通を学んだりと、幅広く見聞を広げ、21歳で家業に就いた。
小売りも卸もしていたので、仕事は激務に。暮れには夜通しで仕込み、明け方に仮眠をすることも。特に卸は多角的に得意先を増やし、学校給食を中心に社員食堂、病院、大学の学食、飲食店など、幅が広がっていった。やがて、時代の影響もあり業務用卸を専門に。当初は約100件の取引先は現在300件以上にもなる。そこには「お得意さんを回って顔を売る」という地道な行動が。「今でも外回りは好きですよ」と福田さんは笑う。
出来上がった品物は、各方面へ配送。店舗前に並ぶ配送用トラックに積み込まれると、得意先へ急行する。その間にも、作業場では次々と職人たちが腕を振るう。
得意先を巡りつつ
縁あって新橋の精肉店に務めた父は、わずか6か月の修行で独立。昭和26年、現在の地に小売店として開業した。当時、周辺は様々な業種の商店で賑わう商店街で、近隣には町工場も多く、自転車が通れないほどの人通りがあった。いくつもの好条件に恵まれ、お店は繁盛。牛・豚・鶏をそろえ、コロッケやメンチなどの揚げ物も豊富に。お昼時や夕方になると、いつも行列ができていた。
小さい時から後継の道を期待されていた福田さんが初めて家業に携わったのは、小学校3年生の時。小さな体に合わせて作った白衣を父から受け取ると、得意先の配達についていった。高校を卒業すると、食肉学校を経て神田の精肉店で修行。約2年にわたり、精肉の扱いはもちろん、得意先の配達を通してバックヤードを見学したり、流通を学んだりと、幅広く見聞を広げ、21歳で家業に就いた。
小売りも卸もしていたので、仕事は激務に。暮れには夜通しで仕込み、明け方に仮眠をすることも。特に卸は多角的に得意先を増やし、学校給食を中心に社員食堂、病院、大学の学食、飲食店など、幅が広がっていった。やがて、時代の影響もあり業務用卸を専門に。当初は約100件の取引先は現在300件以上にもなる。そこには「お得意さんを回って顔を売る」という地道な行動が。「今でも外回りは好きですよ」と福田さんは笑う。
広く活用して機器類の導入や導線の改善など効率を高めた
遠くから注文でも
得意先は東京23区が中心。大手業者との取引があったため、社食、学食、老人ホームなど、紹介に紹介を重ねて拡大していった。時には高尾方面からの紹介が。毎日の配達を要望され、距離的な困難がありながらも簡単には断らず交渉を重ね、配送業者を介するなど試行錯誤を繰り返し、週2回の配達を実現。こうした実績が評判を呼び、さらに得意先が増えていく要素となっている。
「遠いところでも『行きます』と言ってきたため、あちこちと仕事を回してもらった。断るより、条件を相談することで対応できるようになりました」
課題はまだある。やはり配達できる従業員のやり繰りだ。学校給食は決まった時間に配達しなければならない。作業場で精肉をさばく時間も考えると、配達用の運転手は不足気味。配達車10台を駆使しても困難なため、配達代行を依頼したり、朝の配達だけのパートを募集したりで対応している。
「朝6時の決まった時間に配達で来てくれる人は貴重。ありがたいです」
得意先が多い上に、精肉をさばいたり、配達したりと、業務は多忙を極める。しかし、業務の改善を進めることで、以前は日曜日しかなかった休日を20年前から祝日も休みに。また、働き方改革が叫ばれてきたことで3年前から第2土曜日の休みも実現できた。
とにかく人の手が必要な業務なため難しいと思われてきたが、「やってみたら意外とすんなりできた」と福田さん。今では第4土曜日も休みに。従業員も2日連続で休めると、心も体も休まり、生活も仕事も張りが出てくると好評だ。
それを実現できたのは、まずは作業場に秘密が。毎週金曜日だけ近隣の消費者向けに簡単な小売りをしていたが、接客で作業が滞り就業時間が延びてしまったため取りやめ。作業場のデッドスペースの有効利用で、作業場を広くして導線を良くし、高速スライサーなど機器類を設置。効率が良くなった作業場で、休みを見越して業務をこなすことができ、「休みを作れることを証明した」と胸を張る。もちろん、取引先との日程の調整は欠かさない。
得意先は東京23区が中心。大手業者との取引があったため、社食、学食、老人ホームなど、紹介に紹介を重ねて拡大していった。時には高尾方面からの紹介が。毎日の配達を要望され、距離的な困難がありながらも簡単には断らず交渉を重ね、配送業者を介するなど試行錯誤を繰り返し、週2回の配達を実現。こうした実績が評判を呼び、さらに得意先が増えていく要素となっている。
「遠いところでも『行きます』と言ってきたため、あちこちと仕事を回してもらった。断るより、条件を相談することで対応できるようになりました」
課題はまだある。やはり配達できる従業員のやり繰りだ。学校給食は決まった時間に配達しなければならない。作業場で精肉をさばく時間も考えると、配達用の運転手は不足気味。配達車10台を駆使しても困難なため、配達代行を依頼したり、朝の配達だけのパートを募集したりで対応している。
「朝6時の決まった時間に配達で来てくれる人は貴重。ありがたいです」
得意先が多い上に、精肉をさばいたり、配達したりと、業務は多忙を極める。しかし、業務の改善を進めることで、以前は日曜日しかなかった休日を20年前から祝日も休みに。また、働き方改革が叫ばれてきたことで3年前から第2土曜日の休みも実現できた。
とにかく人の手が必要な業務なため難しいと思われてきたが、「やってみたら意外とすんなりできた」と福田さん。今では第4土曜日も休みに。従業員も2日連続で休めると、心も体も休まり、生活も仕事も張りが出てくると好評だ。
それを実現できたのは、まずは作業場に秘密が。毎週金曜日だけ近隣の消費者向けに簡単な小売りをしていたが、接客で作業が滞り就業時間が延びてしまったため取りやめ。作業場のデッドスペースの有効利用で、作業場を広くして導線を良くし、高速スライサーなど機器類を設置。効率が良くなった作業場で、休みを見越して業務をこなすことができ、「休みを作れることを証明した」と胸を張る。もちろん、取引先との日程の調整は欠かさない。
大学の学食や社員食堂、飲食店など、幅広い業種に向けて精肉を提供している
◇
コロナ禍では注文が激減し、苦境に。しかし、最近は元の姿に戻りつつある。今後については「この仕事を大事に。長年の付き合いのお得意さんばかりなので、信用を落とさず守り抜く。高望みをしない。今あることをコツコツと」と、堅実な歩みを続ける。
懸命に業務に邁進する従業員。父の代から続く得意先。厳しい時代にありながら、業績を伸ばしてきたのは、福田さんが人を大事にしてきたからだ。
「『人材』は財産、『人財』ですよ」
長い歴史を経ても色褪せない宝が、お店には詰まっている。
【「東京食肉新報」2023年(令和5年)7月号掲載】
コロナ禍では注文が激減し、苦境に。しかし、最近は元の姿に戻りつつある。今後については「この仕事を大事に。長年の付き合いのお得意さんばかりなので、信用を落とさず守り抜く。高望みをしない。今あることをコツコツと」と、堅実な歩みを続ける。
懸命に業務に邁進する従業員。父の代から続く得意先。厳しい時代にありながら、業績を伸ばしてきたのは、福田さんが人を大事にしてきたからだ。
「『人材』は財産、『人財』ですよ」
長い歴史を経ても色褪せない宝が、お店には詰まっている。
【「東京食肉新報」2023年(令和5年)7月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ