(有)佐藤精肉店
小売店を切り盛りする左から斉藤さん、三本さん、片岡さん、佐藤社長
地下鉄要町駅の大通りから少し路地に入ると、昔ながらの息吹を感じる下町らしい住宅街。分散的に商店が並ぶ地域に、㈲佐藤精肉店(豊島区高松、佐藤心一社長)が黄色い看板で存在感を示すように店舗を構える。決して賑やかではない立地条件にもかかわらず、約50年にわたり地域の台所を支えて来た。それを実現したのは、開業時の困難から発したエネルギーと発展へのがむしゃらさだった。
地下鉄要町駅の大通りから少し路地に入ると、昔ながらの息吹を感じる下町らしい住宅街。分散的に商店が並ぶ地域に、㈲佐藤精肉店(豊島区高松、佐藤心一社長)が黄色い看板で存在感を示すように店舗を構える。決して賑やかではない立地条件にもかかわらず、約50年にわたり地域の台所を支えて来た。それを実現したのは、開業時の困難から発したエネルギーと発展へのがむしゃらさだった。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3973-5573 FAX:03-5966-1129 |
---|---|
住所 | 〒171-0042 豊島区高松1-8-8 |
店舗PR、お知らせなど
店先で煮込む豚モツ煮込みはこの季節の人気メニュー
小売店舗から2~3分歩いた場所に卸の作業場がある。そこに開業当時から研ぎ直し細くなった包丁。それは78歳となった佐藤さんの手でもあり、店の歴史を刻んだ姿のように見える。
手先の器用さから
「仕事は用意してある」。兄から聞いたのは、それだけ。何をするのか分からず、福島県東白河郡から東京に降り立ったのは中学校を卒業した15歳の時だった。3つ用意した仕事のうち、2つは豆腐店と鋼の運搬。もともと小柄な佐藤さんには、力仕事は前向きには考えられなかった。「手先が器用だからできそう」と選んだのが、豊島区東長崎にあった精肉店。食肉の骨を取り除いたりする作業は、向いていたようだ。
転機は30歳の時に訪れた。勤務していた精肉店が倒産に。従業員の中で最年長だった佐藤さんは、店の整理などに追われる中、周囲の勧めもあって自ら開 業することになった。店舗の用意だけでなく、保証人も引き受けてくれる人に恵まれた。しかし、何もないところからのスタート。さらに、一緒に働いていた仲間も雇うことに。「いきなり従業員を抱えたから大変だった」と、当時を笑いながら振り返る。
開業はできたものの、売れ行きはさっぱり。当時は周囲に店が少なく、夜になると真っ暗になるようなところだった。「あんな何もないところで店をやっても、3カ月でつぶれる」と、近所の人たちに噂された。店を繁盛させようと一念発起し、中華料理店で習った餃子やシュウマイを朝3時から自らの手で作り始めた。やがて評判を呼び、1日に数えきれないほどの量が売れるように。現在では人気メニューが多いお惣菜のヒット作の第一号となった。
情熱で学校給食を
発展の追い風となったのが学校給食だ。しかし、営業活動は「苦労した」。ある学校の入札の面接には、大企業の営業マンがスーツで来ている中をジャンバー姿で乗り込んだ。その身なりに「社長さんに来てもらってください」と言われる始末だったが、大会社にできない小回りが利く事業展開を必死にアピール。「どこにも負けないよう頑張るから」と熱意を伝えたが、不安を投げかけながらの反応に「ダメだな」と諦め気分に。しかし、採用3社中、最後の枠に入り契約となる。
学校の調理師の元へ何度も足を運び、食材やメニューを相談していくうちに多くの学校から信頼を得ていった。やがて最盛期には50もの学校に肉を卸すように。その縁から小学校の生徒が授業で見学に来るようになったが、店舗の規模が対応できないことから、今の卸作業をする作業所を建設。冷蔵庫も新しくするなど、発展を続けた。
開業20周年の記念セールでは、取引先から花輪が77本も並んだ。目立った店がない地域に突然何が起きたかと、近隣が驚くほどの賑やかさを見せた。「3か月でつぶれると言われたのに」と、真逆の結果は、地域に店の存在感を示し切った瞬間だった。
手先の器用さから
「仕事は用意してある」。兄から聞いたのは、それだけ。何をするのか分からず、福島県東白河郡から東京に降り立ったのは中学校を卒業した15歳の時だった。3つ用意した仕事のうち、2つは豆腐店と鋼の運搬。もともと小柄な佐藤さんには、力仕事は前向きには考えられなかった。「手先が器用だからできそう」と選んだのが、豊島区東長崎にあった精肉店。食肉の骨を取り除いたりする作業は、向いていたようだ。
転機は30歳の時に訪れた。勤務していた精肉店が倒産に。従業員の中で最年長だった佐藤さんは、店の整理などに追われる中、周囲の勧めもあって自ら開 業することになった。店舗の用意だけでなく、保証人も引き受けてくれる人に恵まれた。しかし、何もないところからのスタート。さらに、一緒に働いていた仲間も雇うことに。「いきなり従業員を抱えたから大変だった」と、当時を笑いながら振り返る。
開業はできたものの、売れ行きはさっぱり。当時は周囲に店が少なく、夜になると真っ暗になるようなところだった。「あんな何もないところで店をやっても、3カ月でつぶれる」と、近所の人たちに噂された。店を繁盛させようと一念発起し、中華料理店で習った餃子やシュウマイを朝3時から自らの手で作り始めた。やがて評判を呼び、1日に数えきれないほどの量が売れるように。現在では人気メニューが多いお惣菜のヒット作の第一号となった。
情熱で学校給食を
発展の追い風となったのが学校給食だ。しかし、営業活動は「苦労した」。ある学校の入札の面接には、大企業の営業マンがスーツで来ている中をジャンバー姿で乗り込んだ。その身なりに「社長さんに来てもらってください」と言われる始末だったが、大会社にできない小回りが利く事業展開を必死にアピール。「どこにも負けないよう頑張るから」と熱意を伝えたが、不安を投げかけながらの反応に「ダメだな」と諦め気分に。しかし、採用3社中、最後の枠に入り契約となる。
学校の調理師の元へ何度も足を運び、食材やメニューを相談していくうちに多くの学校から信頼を得ていった。やがて最盛期には50もの学校に肉を卸すように。その縁から小学校の生徒が授業で見学に来るようになったが、店舗の規模が対応できないことから、今の卸作業をする作業所を建設。冷蔵庫も新しくするなど、発展を続けた。
開業20周年の記念セールでは、取引先から花輪が77本も並んだ。目立った店がない地域に突然何が起きたかと、近隣が驚くほどの賑やかさを見せた。「3か月でつぶれると言われたのに」と、真逆の結果は、地域に店の存在感を示し切った瞬間だった。
約50年の歴史を持つ小売店の店舗
品質重視のお惣菜
住宅に囲まれ、入り組んだ細い路地。地域の人でないと、ここに精肉店があることさえ気付かなそうな場にありながら、夕方になると地域の主婦などが人気のお惣菜を求めて活気づく。コロッケ、メンチ、アジフライ、チキンカツなど、揚げ物は売れ筋商品だ。すぐに食べられるメニューが、幅広い顧客を獲得している。
中でもローストビーフは、上質な味なのにお得感のある価格なので人気だ。肉の香ばしさと赤身のジューシーさがバランスよく、噛むと肉の甘みが広がり、柔らかくもしっかりとした歯ごたえが心地よい。
また、寒い時期なので豚のモツ煮込みの温かさにお客の笑顔がこぼれる。モツは2~3時間かけて何度も水を入れ替えながらボイル。匂いが少なく、簡単に噛み切れるほどの柔らかさは、その根気の表れだ。味噌仕立てのシンプルな味付けで、左党からの人気も高い。店先に鍋を出して煮込むため、その場で食べるお客もおり、唐辛子を備える気の効き様だ。
これらのお惣菜を手掛けるのは、小売店の店長の片岡龍美さん。佐藤さんが独立した時に引き連れて来たメンバーの一人だ。「15歳の時から、一緒にやっているから」と店の歴史の語り部でもある。
包丁を手に肉をスライスする斉藤由夫さんは、店を長年支えているだけでなく組合で理事を経験。同じ時期を過ごした組合員と交流の幅も広く、当時の役員の名前を出しては思い出話に花が咲く。
他にも、大野強さん、佐藤良平さんと、開業から苦楽を共にしてきたメンバーは、従業員であり、兄弟であり、同志である。そんな眼差しが、佐藤さんとの間に交わされているようだった。
【東京食肉新報2015年1月15日号掲載】
住宅に囲まれ、入り組んだ細い路地。地域の人でないと、ここに精肉店があることさえ気付かなそうな場にありながら、夕方になると地域の主婦などが人気のお惣菜を求めて活気づく。コロッケ、メンチ、アジフライ、チキンカツなど、揚げ物は売れ筋商品だ。すぐに食べられるメニューが、幅広い顧客を獲得している。
中でもローストビーフは、上質な味なのにお得感のある価格なので人気だ。肉の香ばしさと赤身のジューシーさがバランスよく、噛むと肉の甘みが広がり、柔らかくもしっかりとした歯ごたえが心地よい。
また、寒い時期なので豚のモツ煮込みの温かさにお客の笑顔がこぼれる。モツは2~3時間かけて何度も水を入れ替えながらボイル。匂いが少なく、簡単に噛み切れるほどの柔らかさは、その根気の表れだ。味噌仕立てのシンプルな味付けで、左党からの人気も高い。店先に鍋を出して煮込むため、その場で食べるお客もおり、唐辛子を備える気の効き様だ。
これらのお惣菜を手掛けるのは、小売店の店長の片岡龍美さん。佐藤さんが独立した時に引き連れて来たメンバーの一人だ。「15歳の時から、一緒にやっているから」と店の歴史の語り部でもある。
包丁を手に肉をスライスする斉藤由夫さんは、店を長年支えているだけでなく組合で理事を経験。同じ時期を過ごした組合員と交流の幅も広く、当時の役員の名前を出しては思い出話に花が咲く。
他にも、大野強さん、佐藤良平さんと、開業から苦楽を共にしてきたメンバーは、従業員であり、兄弟であり、同志である。そんな眼差しが、佐藤さんとの間に交わされているようだった。
【東京食肉新報2015年1月15日号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ