(株)鈴木商店
文京区の地蔵通り商店街は、区内でも有数の賑わいを見せる通りだ。㈱鈴木商店(鈴木啓社長、文京区関口)には夕方になるとお客が途切れず、次々と精肉が売れていく。「今時、惣菜やお弁当をやっていないお店は珍しいでしょ」と先代の鈴木正夫さんが語るように、上質な精肉だけで売り場を作っている。精肉の質だけでない、買いに来てもらえる理由は鈴木さんの口癖に秘密がありそうだ。
店主より一言
店舗情報
営業時間 | 10:00~18:30(定休日:日曜日・祝日) |
---|---|
連絡先 |
TEL:03-3268-8934 FAX:03-3268-8935 |
住所 | 〒112-0014 文京区関口1-6-5-101 |
店舗PR、お知らせなど
清潔感のある店内にしっかり仕込みをした精肉が並ぶ
現在の群馬県高崎市で6人きょうだいの末っ子として育った鈴木さんが初めに飛び込んだのは、兄が務める鮮魚店だった。22歳の時に、親方の縁で東京の精肉店に紹介され養子に。「肉は興味があったし、美味しいから」と、勇んで仕事に取り組んだ。
初代である義父が関東大震災で芝から避難したことがきっかけで、当地に精肉店を開店。当時、後楽園にあった東京砲兵工廠へ向かう現在の地蔵通り商店街は人通りが多く、腕利きの義父は事業を拡大し続け、お店にも活気が。上質な精肉を扱い、義母のコロッケも評判が良かったが、精肉に特化。こうした義父の背中を見て、肉のさばき方など見よう見まね仕事を覚えていった。
初代である義父が関東大震災で芝から避難したことがきっかけで、当地に精肉店を開店。当時、後楽園にあった東京砲兵工廠へ向かう現在の地蔵通り商店街は人通りが多く、腕利きの義父は事業を拡大し続け、お店にも活気が。上質な精肉を扱い、義母のコロッケも評判が良かったが、精肉に特化。こうした義父の背中を見て、肉のさばき方など見よう見まね仕事を覚えていった。
ステーキ肉は部位やサシの入り方などが選べるように一つずつカットしてある
筋引きは徹底的に
肉を扱う話になると、鈴木さんは「丁寧な仕事」の言葉を何度も口にする。その仕事が特に現れるのが挽肉だ。ブロック肉から脂、スジ、軟骨、リンパなど、きれいに除去。職人が処理したものから、さらにチェックして「徹底的に丁寧に」筋引きをする。こうすることで、コロッケやハンバーグで歯に当たるような感触はなくなり、美味しさを引き出す。お客からの評判も良く、「食べてみればわかります」と胸を張る。
精肉は産地や銘柄にこだわらず、「良いもの」を扱い、一般の和牛4~5番が中心。しゃぶしゃぶ用はシートで一枚ずつ包んで折り畳み、ショーケースに整然と並ぶ姿は、「丁寧な仕事」がここでも表れている。部位ごとに厚切りしたステーキ用は、好みのものが選べると熱心なお客の視線が注がれる。
豚肉は専門の問屋から上物をパーツではなく枝肉で仕入れる。スライスしたものはもちろんロース肉はブロックで置き、良い所だけを提供できるようにした。肉にこだわるお客に勧めるという自慢の一品だ。
なるべく美味しく食べてほしいから、アドバイスも忘れない。「ステーキやとんかつのお肉は、焼きたて、揚げたてで食べてねと、これだけは言います。そうすると、本当に美味しい」と、調理法を伝えながらトークに花が咲く。それを重ねることで、お客に「この店のお客」との意識が芽生え、通うようになってくる。
最近では、近隣にマンションが増えたことで、新しいお客も増えてきた。昔なじみのお客は高齢者が多くなったため、鈴木さんがバイクで配達することもある。
「来店してくれたありがたさを表さないと。個人店の場合は、接客が大事」
売り上げへの工夫は「特にない」と語る鈴木さんのこうした自然な行いこそが、一番の工夫のようだ。
肉を扱う話になると、鈴木さんは「丁寧な仕事」の言葉を何度も口にする。その仕事が特に現れるのが挽肉だ。ブロック肉から脂、スジ、軟骨、リンパなど、きれいに除去。職人が処理したものから、さらにチェックして「徹底的に丁寧に」筋引きをする。こうすることで、コロッケやハンバーグで歯に当たるような感触はなくなり、美味しさを引き出す。お客からの評判も良く、「食べてみればわかります」と胸を張る。
精肉は産地や銘柄にこだわらず、「良いもの」を扱い、一般の和牛4~5番が中心。しゃぶしゃぶ用はシートで一枚ずつ包んで折り畳み、ショーケースに整然と並ぶ姿は、「丁寧な仕事」がここでも表れている。部位ごとに厚切りしたステーキ用は、好みのものが選べると熱心なお客の視線が注がれる。
豚肉は専門の問屋から上物をパーツではなく枝肉で仕入れる。スライスしたものはもちろんロース肉はブロックで置き、良い所だけを提供できるようにした。肉にこだわるお客に勧めるという自慢の一品だ。
なるべく美味しく食べてほしいから、アドバイスも忘れない。「ステーキやとんかつのお肉は、焼きたて、揚げたてで食べてねと、これだけは言います。そうすると、本当に美味しい」と、調理法を伝えながらトークに花が咲く。それを重ねることで、お客に「この店のお客」との意識が芽生え、通うようになってくる。
最近では、近隣にマンションが増えたことで、新しいお客も増えてきた。昔なじみのお客は高齢者が多くなったため、鈴木さんがバイクで配達することもある。
「来店してくれたありがたさを表さないと。個人店の場合は、接客が大事」
売り上げへの工夫は「特にない」と語る鈴木さんのこうした自然な行いこそが、一番の工夫のようだ。
売り場のすぐ裏はコンパクトにまとまった作業場で効率的に。窓越しに売り場とのやり取りがしやすくなっている
3年前に店舗改装
業界自体の雰囲気に加え、近隣にスーパーが増え始めた約20年前、お店は「次へつなげなくても…」と意識しだした鈴木さんに、光が射した。息子の啓さんが跡を継ぐと決意。大学卒業後、外食チェーンで勤務していたが、幼いころに遊び場でもあったお店がシャッターを下ろすのは寂しいと、自ら家業に入った。直後に鈴木さんが入院してお店を空けてしまったが、かえってその期間に「ガラッと変わった」と鈴木さんが驚くほどの成長を。今では3代目として、お店の中心となっている。
3年前の2月には、店舗も改装した。不動産会社からマンション建設の提案があり、1階に店舗、最上階の11~13階に自宅を構えた。店舗前面はガラス張りで店内を明るくし、清潔感にあふれ、入りやすい雰囲気に。正面にはショーケースが店内の幅いっぱいに広がり、赤々とした精肉がズラリと並ぶ。
売り場の裏は窓を隔てて作業場に。限られたスペースに作業台やスライサーなどの機器類をコンパクトに配置し、その奥には学校給食があるため大きめの冷凍庫・冷蔵庫がある。店頭に精肉が並ぶまでの一連の作業がスムーズに進められるので、とても効率的だ。また、お客からお肉のカットの注文があれば、売り場の窓から受け取ってすぐに対応できる。
◇
次代にお店をつなげ、店舗も新装。今後の展望を問えば「コツコツと正直に」と鈴木さん。毎日店頭に来るお客にも、納めている商店街の飲食店にも、給食用に配達している学校にも、長年にわたり貫いた姿勢が今の形となっているのだろう。
「丁寧な仕事」
やはり、この言葉が奥底にあるのは間違いなさそうだ。
【「東京食肉新報」2019年(令和元年)11月号掲載】
業界自体の雰囲気に加え、近隣にスーパーが増え始めた約20年前、お店は「次へつなげなくても…」と意識しだした鈴木さんに、光が射した。息子の啓さんが跡を継ぐと決意。大学卒業後、外食チェーンで勤務していたが、幼いころに遊び場でもあったお店がシャッターを下ろすのは寂しいと、自ら家業に入った。直後に鈴木さんが入院してお店を空けてしまったが、かえってその期間に「ガラッと変わった」と鈴木さんが驚くほどの成長を。今では3代目として、お店の中心となっている。
3年前の2月には、店舗も改装した。不動産会社からマンション建設の提案があり、1階に店舗、最上階の11~13階に自宅を構えた。店舗前面はガラス張りで店内を明るくし、清潔感にあふれ、入りやすい雰囲気に。正面にはショーケースが店内の幅いっぱいに広がり、赤々とした精肉がズラリと並ぶ。
売り場の裏は窓を隔てて作業場に。限られたスペースに作業台やスライサーなどの機器類をコンパクトに配置し、その奥には学校給食があるため大きめの冷凍庫・冷蔵庫がある。店頭に精肉が並ぶまでの一連の作業がスムーズに進められるので、とても効率的だ。また、お客からお肉のカットの注文があれば、売り場の窓から受け取ってすぐに対応できる。
◇
次代にお店をつなげ、店舗も新装。今後の展望を問えば「コツコツと正直に」と鈴木さん。毎日店頭に来るお客にも、納めている商店街の飲食店にも、給食用に配達している学校にも、長年にわたり貫いた姿勢が今の形となっているのだろう。
「丁寧な仕事」
やはり、この言葉が奥底にあるのは間違いなさそうだ。
【「東京食肉新報」2019年(令和元年)11月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ