おいしくお肉を食べようよ！お肉屋さん紹介『（株）藤巻商店』

（株）藤巻商店

藤巻商店１

　地下食品売り場独特のエネルギーが充満している。鮮魚の香り、惣菜の豊富な品揃え、青果の色鮮やかさ。その一角にある㈱藤巻商店（藤巻昭彦社長、杉並区上萩）では、鳥が翼を広げたかのように幅広いショーケースを構える。それは、長年にわたり地域に根差し、幅広いニーズに応え、こだわりの精肉への自信にあふれているかのようだ。

店主より一言

店舗情報

連絡先	TEL：03-3392-2941 FAX：03-3392-2941
住所	〒167-0043　杉並区上荻１－９－１　タウンセブンＢ２７

店舗PR、お知らせなど

牛肉だけでも部位や切り方の違いで豊富な品ぞろえに

　お店の前に立つと、ズラリと並んだ精肉の種類の豊富さに圧倒される。牛豚鶏をそろえているのはもちろん、それぞれに複数のブランド肉が。さらに、部位ごとで、切り身に、スライスに、挽肉に。

　「これだけの種類がそろっているので、お客さんのあらゆるニーズに応えられます」と胸を張って商品の説明をする従業員の六郷嘉眞さん。メインの牛肉は、藤巻社長が国産のメスだけにこだわり、月齢、血統も吟味して、市場で一頭買いする。そのため、多彩な部位の精肉が提供できる上に、高品質でありながら手頃な価格で提供できるので、常連客だけでなく問屋がお中元用に買いに来るほどだ。

　そのため、焼肉用の牛肉は切り方や部位、サシの具合など、細かい好みをくみ取ってくれるような品ぞろえ。すき焼き用の薄切り肉などでも同様で、ローストビーフ用の塊肉、カレー用のすね肉と、料理人も欲しがる高品質の精肉も充実。さらに挽肉は６種も備える。

　他店では入手困難な品種も扱い、店内には「鹿児島黒牛」「宮崎牛」「隠岐牛」のほか、幻の牛肉と言われる鹿児島県産の黒毛和種「のざき牛」など、ブランド牛のポスターがお店を彩る。中でも、他県では流通しない香川県のオリーブで育てた「オリーブ牛」は注目され、あまりの希少さに問屋が買いに来たほどだ。藤巻社長の取引先との信頼の厚さをうかがわせる。

　豚肉も引けを取らない充実ぶり。かごしま黒豚、薩摩美豚、埼玉のチェリーポークなどのブランド肉を部位ごとに様々なカットをしてショーケースに整然と並ぶ。ロース、生姜焼き、バラスライスなど、あらゆる調理に対応でき、挽肉だけでも５種類も備える。切り落としも部位ごとに違う味を提供できるので、種類も多い。

　鶏肉でも秋田の比内地鶏、茨城のつくば茜鶏と、目を引く品揃え。

　こうした精肉が１２０種類以上も並んだショーケースは壮観だが、「これでも量を減らした」というから驚きだ。　日替わりで割引を行い、牛肉と豚肉は１割引、鶏肉と挽肉は２割引、土・日曜日は全品割引で提供する。地域の長年の常連客も多く、「お肉はここでしか買ったことがない」という熱心なお客も。

バーベキュー用に提供しているセットもそろえる

全体で盛り上げて

　同店はＪＲ荻窪駅前の商業施設タウンセブンの地下にある。この施設は、庶民の生活物資が集まる闇市から生まれ変わって１９４６年に出来た「新興マーケット」を源とする。時代とニーズの変化により新しく生まれ変わるため、商店街の再開発で１９８１年に完成した。同店も商店街からタウンセブンの発展とともに繁盛し続け、今日まで来た。施設内には大手スーパーのほか、精肉店、肉を使った惣菜店など、競合する商店もある。しかし、ライバルと見るのではなく「昔から一緒にやっている仲間」として全体で盛り上げようとの意識が強い。

　その例として、夏場の屋上でのバーベキューがある。バーベキュー店と連携し、同店では上質な牛肉を盛り合わせにしたセットを提供。会場は若いお客を中心に毎年盛況で、同店提供の牛肉の美味しさはもちろん、部位にも関心を持ち、後日買いに来るお客もいるなど相乗効果もあり、新たな顧客獲得へつながっている。

惣菜コーナーには上質な肉を使ったこだわりの惣菜とお弁当が

上質はお弁当にも

　同じフロア内で精肉とは別に「にくのくに」と銘打った惣菜コーナーも構える。同店で扱う精肉を調理し、精肉店ならではの惣菜が並ぶ。ショーケースとともに並ぶオーブンでは、お客の目線を集めながらスペアリブや焼き豚、ローストチキンなどを焼き上げる。出来立てを販売するだけでなく、それらを詰めたお弁当も人気だ。

　他にも、「生姜焼き弁当」「牛タン焼肉弁当」「ジャンボチキンカツ弁当」と、精肉店だから手に入る上質な精肉を使ったものばかり。「つくば鶏の黒酢あん弁当」のようにブランド肉の名前を冠した高級感があっても、多くのお弁当が５００～７００円という手ごろさ。

　焼き豚はバラ肉１枚を３日３晩自家製のタレに付け込んで、オーブンで丸々焼き上げる。メンチは黒毛和牛の牛肉に、３時間煮込んだ牛筋煮込み、甘さが強い淡路島産の玉ねぎの３点のみで美味しさを引き出す。「力を入れてやっている。一押しです」と六郷さんの声に張りが出る。

◇

　精肉が多彩、惣菜も豊富。幅広い品ぞろえと、飽きさせない展開。お客の心をつかんでいるのは精肉の品質と美味しさは言うまでもないが、お客へ精肉の特長を語り、感想を聞き、また新たに提案するという繰り返しで、お客の満足感を高めていることにある。

　「昔ながらの対面販売だから、お客と対話できるのが強みです」

　この品ぞろえは、多くのお客と語った証なのだろう。

【「東京食肉新報」2019年（令和元年）7月号掲載】

前のページに戻る