(資)高尾商店
家族6人が一丸となって店を切り盛りする。右端から髙尾さん、佳知さん、彰吾さん、智大さん、和子さん、中央に麗子さん
上野松坂屋などが並ぶ賑やかな中央通りから見ると、背を向けて隠れているかのように合資会社高尾商店(台東区上野)はある。立地条件が大事な商店としては不利な条件に見えるが、ランチの時間になると、店舗の前には肉の美味しさを生かしたお弁当やお惣菜が目当ての行列ができる。店がサラリーマンや地域の人たちに愛される理由は、高尾憲治社長の「気配り」に秘められている。
上野松坂屋などが並ぶ賑やかな中央通りから見ると、背を向けて隠れているかのように合資会社高尾商店(台東区上野)はある。立地条件が大事な商店としては不利な条件に見えるが、ランチの時間になると、店舗の前には肉の美味しさを生かしたお弁当やお惣菜が目当ての行列ができる。店がサラリーマンや地域の人たちに愛される理由は、高尾憲治社長の「気配り」に秘められている。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3831-6823 FAX:03-3837-4129 |
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住所 | 〒110-0005 台東区上野1-19-12 |
店舗PR、お知らせなど
佳知さんが肉をさばき、彰吾さんは配達へと店内は賑やか
店の奥では髙尾さんの弟で専務の佳知さん、高尾さんの長男・智大さん、佳知さんの長男・彰吾さんが、鮮やかな包丁さばきで肉塊に向き合う。店先では髙尾さんの妻・和子さんと佳知さんの妻・麗子さんが、揚げたての揚げ物を手早くパックに詰めて笑顔でお客に手渡す。店舗内では全員が、活気に満ちながら、無駄のない動きで、それぞれの作業を進めていく。家族だから生まれる呼吸が、隅々にまで行き渡っているようだ。
佳知さんは高校卒業後にプリマハムの食肉学校に通い、神戸の牛肉卸店で8年修業。現在まで知識と技術で店を支えた「牛肉のプロ」(高尾さん)だ。智大さんも同校に学び、髙尾さんもうなる包丁さばきを見せ、彰吾さんといとこ同士で次世代へ思いを馳せる。和子さんと麗子さんはフライヤーで朝から無数の揚げ物を揚げ、明るく元気な声は揚げ物に添える最後の調味料だ。
佳知さんは高校卒業後にプリマハムの食肉学校に通い、神戸の牛肉卸店で8年修業。現在まで知識と技術で店を支えた「牛肉のプロ」(高尾さん)だ。智大さんも同校に学び、髙尾さんもうなる包丁さばきを見せ、彰吾さんといとこ同士で次世代へ思いを馳せる。和子さんと麗子さんはフライヤーで朝から無数の揚げ物を揚げ、明るく元気な声は揚げ物に添える最後の調味料だ。
和子さん㊧と麗子さんが早朝から無数の揚げ物を揚げる
コンビニや飲食店が多い地域だが、お弁当はサラリーマンやOL、タクシーの運転手から人気。お弁当とお惣菜が売れ行きは、10時ごろから夕方まで息つく間もないほどだ。21種類の揚げ物のお弁当を中心に、丼物、サンドイッチなど、肉の美味しさを生かしたメニューが豊富。これらはお客のリクエストに応えているうちに数が増え、しかもお客の好みに合わせてトッピングを変えたりと、細かいニーズにも気を配る。
人気の秘密は、手作りと揚げたてであること。ユニークさと個性を出した味と、サクサクとした食感を大事にし、オーダーが出てから揚げ始めて一番おいしい状態で提供する。特に唐揚げは家での作り方を聞いてきたり、牛骨スープから作るカレーはルーだけ持ち帰ったりと、店の持ち味を出したメニューはお客から根強い人気を得ている。お客へのこのような気配りは、髙尾さんの青春を彩った野球に原点があった。
人気の秘密は、手作りと揚げたてであること。ユニークさと個性を出した味と、サクサクとした食感を大事にし、オーダーが出てから揚げ始めて一番おいしい状態で提供する。特に唐揚げは家での作り方を聞いてきたり、牛骨スープから作るカレーはルーだけ持ち帰ったりと、店の持ち味を出したメニューはお客から根強い人気を得ている。お客へのこのような気配りは、髙尾さんの青春を彩った野球に原点があった。
店先に立つ髙尾さん。豊富な種類のお弁当のメニューがびっしりと
野球人生と恩返し
高校時代から野球部に入り、法政大学ではキャッチャーとして活躍。後のプロ野球のスター選手、田渕幸一さん、山本浩二さんは一級先輩で、同期には江本孟紀さんがおり、現在も交流は続く。
全部員120人いる部内で、野球を通していろいろな人を見て、多彩な考え方を吸収した。勝つために部員たちと心を通じ合わせ、監督と選手の信頼感を築くことでも間に入るなど、気配りを学んだ。やがてミットで受け止める球から、ピッチャーの体調なども敏感に感じ取るほどに。その気配りから出したサインで投げられた一球が、当時早稲田大学で後に中日で活躍した矢沢健一さんにサヨナラホームランを打たれたことは、いまだにOBの間で語り草になっている。
大学卒業後の25歳で家業を継いだ。昭和12年に本郷で創業した父・政吉さんは、スーパーの先駆け的な青果店にテナントとして現在の地に上野支店を出店。戦中戦後の厳しい時代を、母・きよさんは幼い髙尾さんを背負いながら住み込みの従業員の面倒を見ることに加え、店の仕事もこなした。こうした姿を見てきた髙尾さんにとって、「それまで好きな野球をやらせてくれた、またそうした場を与えてくれた」両親への感謝の思いだった。職人気質の政吉さんは、仕事に関しては「後ろで見ていろ」「やってみろ」というだけ。しかし、野球で鍛えた精神力と体力で、仕事を覚えていった。
28歳の時には少年野球の監督を引き受け、厳しくも成長を祈って子どもたちを鍛えていった。その甲斐あって、教え子の中には甲子園やプロへ行った選手もいる。今では教え子がチームの監督やコーチとなり、自らは「会長」の立場で遠くから見守る。「果たせなかった夢を教え子が叶えてくれているのが楽しみ」と髙尾さん。子どもたちへの気配りを忘れず、自身を鍛えてくれた野球への恩返しは教え子が証明しているようだ。
全員が頑張る秘訣
野球で身に着けた気配りとチームワークは、仕事にも生きている。自分で一通り仕事はできるが、肉をさばくのは、より腕の立つ佳知さん、智大さん、彰吾さんに信頼を寄せ、プロ級の料理を作る麗子さんと和子さんには新メニューの考案を託す。きよさんも経理を担当して、93歳の今でも現役だ。全員がそれぞれに持つ力を発揮できるよう、仕事を任せきっている。
一方、髙尾さんの仕事は「掃除をしたり、段ボールを畳んだりと、雑用ばかり」と笑う。しかし、「手の届かないところの仕事を、一生懸命やる」と、裏方に徹する。トラブルがあった場合は、自らが動く。こうした姿勢が全員の安心感になり、仕事がうまくいく大事な要素だと語る。 家族だけでの仕事なので、衝突もある。しかし、社長である自分が何か言えばケンカになるため、みんなが頑張ってくれるなら「耐えること」「折れること」でチームワークを良くしてきた。
家族みんなで力を出し合い、気配りでまとめ上げ、お弁当とお惣菜でお客からの人気を集める。ルールブックのような「商売は正直に」「継続は力なり」という政吉さんの言葉で指揮を執る髙尾さんは、まさにチーム「髙尾商店」の名監督だ。
【「東京食肉新報」2014年(平成26年)9月号掲載】
高校時代から野球部に入り、法政大学ではキャッチャーとして活躍。後のプロ野球のスター選手、田渕幸一さん、山本浩二さんは一級先輩で、同期には江本孟紀さんがおり、現在も交流は続く。
全部員120人いる部内で、野球を通していろいろな人を見て、多彩な考え方を吸収した。勝つために部員たちと心を通じ合わせ、監督と選手の信頼感を築くことでも間に入るなど、気配りを学んだ。やがてミットで受け止める球から、ピッチャーの体調なども敏感に感じ取るほどに。その気配りから出したサインで投げられた一球が、当時早稲田大学で後に中日で活躍した矢沢健一さんにサヨナラホームランを打たれたことは、いまだにOBの間で語り草になっている。
大学卒業後の25歳で家業を継いだ。昭和12年に本郷で創業した父・政吉さんは、スーパーの先駆け的な青果店にテナントとして現在の地に上野支店を出店。戦中戦後の厳しい時代を、母・きよさんは幼い髙尾さんを背負いながら住み込みの従業員の面倒を見ることに加え、店の仕事もこなした。こうした姿を見てきた髙尾さんにとって、「それまで好きな野球をやらせてくれた、またそうした場を与えてくれた」両親への感謝の思いだった。職人気質の政吉さんは、仕事に関しては「後ろで見ていろ」「やってみろ」というだけ。しかし、野球で鍛えた精神力と体力で、仕事を覚えていった。
28歳の時には少年野球の監督を引き受け、厳しくも成長を祈って子どもたちを鍛えていった。その甲斐あって、教え子の中には甲子園やプロへ行った選手もいる。今では教え子がチームの監督やコーチとなり、自らは「会長」の立場で遠くから見守る。「果たせなかった夢を教え子が叶えてくれているのが楽しみ」と髙尾さん。子どもたちへの気配りを忘れず、自身を鍛えてくれた野球への恩返しは教え子が証明しているようだ。
全員が頑張る秘訣
野球で身に着けた気配りとチームワークは、仕事にも生きている。自分で一通り仕事はできるが、肉をさばくのは、より腕の立つ佳知さん、智大さん、彰吾さんに信頼を寄せ、プロ級の料理を作る麗子さんと和子さんには新メニューの考案を託す。きよさんも経理を担当して、93歳の今でも現役だ。全員がそれぞれに持つ力を発揮できるよう、仕事を任せきっている。
一方、髙尾さんの仕事は「掃除をしたり、段ボールを畳んだりと、雑用ばかり」と笑う。しかし、「手の届かないところの仕事を、一生懸命やる」と、裏方に徹する。トラブルがあった場合は、自らが動く。こうした姿勢が全員の安心感になり、仕事がうまくいく大事な要素だと語る。 家族だけでの仕事なので、衝突もある。しかし、社長である自分が何か言えばケンカになるため、みんなが頑張ってくれるなら「耐えること」「折れること」でチームワークを良くしてきた。
家族みんなで力を出し合い、気配りでまとめ上げ、お弁当とお惣菜でお客からの人気を集める。ルールブックのような「商売は正直に」「継続は力なり」という政吉さんの言葉で指揮を執る髙尾さんは、まさにチーム「髙尾商店」の名監督だ。
【「東京食肉新報」2014年(平成26年)9月号掲載】
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ