(株)リキフーヅ
訪問した産地の豚の写真とともに榮野川さくら子社長(中央)と従業員の皆さん。この作業場の入口は「リキの市」の会場にもなる
「フーズ」ではなく、なぜ「ヅ」なのか。名刺の肩書にある「ポークキュレーター」とは何か。第一印象から好奇心を掻き立たせてくれる㈱リキフーヅ(葛飾区青戸)の社名と社長の榮野川さくら子さん。豚を介して縁した人の心をガッチリとつかむ要素は、さくら子さんの多彩な視点から発している。
「フーズ」ではなく、なぜ「ヅ」なのか。名刺の肩書にある「ポークキュレーター」とは何か。第一印象から好奇心を掻き立たせてくれる㈱リキフーヅ(葛飾区青戸)の社名と社長の榮野川さくら子さん。豚を介して縁した人の心をガッチリとつかむ要素は、さくら子さんの多彩な視点から発している。
店主より一言
店舗情報
連絡先 | TEL:03-3601-7512 |
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住所 | 〒125-0062 葛飾区青戸8-7-16 |
店舗PR、お知らせなど
豚の頭骨の標本を前に豚への愛情が止まらない
「ロイヤルマンガリッツァはハンガリーで『食べられる国宝』と言われていて…」「スワローベリー、レッド、ブロンドの3系統があって…」「脂が多くて、むしろ脂を食べる。美味しいんです」
執務室に置いてある豚の頭骨の標本を手に、次々と言葉が紡ぎ出されていく。養豚についての書籍、豚の人形、スマホには数え切れないほどの養豚場での写真。さくら子さんの豚への愛情が泉のように湧き出してくる。しかし、ほんの少し前まで食肉については全く知識がなかったと聞かされると、驚かずにはいられない。
執務室に置いてある豚の頭骨の標本を手に、次々と言葉が紡ぎ出されていく。養豚についての書籍、豚の人形、スマホには数え切れないほどの養豚場での写真。さくら子さんの豚への愛情が泉のように湧き出してくる。しかし、ほんの少し前まで食肉については全く知識がなかったと聞かされると、驚かずにはいられない。
学校や飲食店の納めがほとんどで丁寧な仕事ぶりを
新しい風を期待し
会社の歴史は古く、祖父・荒井熊吉さんが、1921(大正10)年に創業。と畜場も経営するなど事業を拡大して「荒井畜産」を設立すると、父・力男さんが㈱リキフーヅを起こしホルモン卸業、食肉卸販売業を展開していく。兄・太郎さんが3代目となり、移動販売業、飲食事業などに着手するなど、順調に業績を伸ばしてきた。
しかし、食肉業界はコロナ禍で厳しい環境に。食肉業の職人として腕の立つ太郎さんは、業界に捕らわれた考え方より、別の視点で時代の荒波を乗り越える経営者の必要を感じた。白羽の矢を立てたのは、妹であるさくら子さん。2020年のことだった。
「全然違う畑から来ちゃいました」と自ら言うように、多彩な経歴を持つ。小学4年生で歯科衛生士に憧れ、20歳で夢を叶える。趣味のスキューバダイビングにも熱中した。10年一区切りとサイパンへ飛び、ライセンスを生かしてダイビングの仕事を得た。さらに飲食店のアルバイトにも励み、人とのつながりと食の豊かさに楽しさを知り、縁あって飲食店のオーナーとなるなど7年過ごした。
帰国後、農水省による食糧自給率の向上に携わる求人広告に目がとまった。食の豊富なサイパンに対し、日本の食糧自給率の低さに驚き応募。事業を進める大手広告代理店のオフィスに通いながら、広告にまつわる業務や自給率向上の対策などを学ぶ。5年勤め上げて正社員となるチャンスを手にしかけた頃、父・力男さんが病に倒れ、看病するため退職。家業に入った。
専務となったが「手伝い程度」との姿勢で、食肉については全く知識がなく、それまで興味も持たなかった。そこへ兄・太郎さんから社長交代の話。時はコロナ禍で、異業種を経験し考え方が食肉業界寄りでないことから「新しい風を吹かす」と期待された。半年悩み決断した。
会社の歴史は古く、祖父・荒井熊吉さんが、1921(大正10)年に創業。と畜場も経営するなど事業を拡大して「荒井畜産」を設立すると、父・力男さんが㈱リキフーヅを起こしホルモン卸業、食肉卸販売業を展開していく。兄・太郎さんが3代目となり、移動販売業、飲食事業などに着手するなど、順調に業績を伸ばしてきた。
しかし、食肉業界はコロナ禍で厳しい環境に。食肉業の職人として腕の立つ太郎さんは、業界に捕らわれた考え方より、別の視点で時代の荒波を乗り越える経営者の必要を感じた。白羽の矢を立てたのは、妹であるさくら子さん。2020年のことだった。
「全然違う畑から来ちゃいました」と自ら言うように、多彩な経歴を持つ。小学4年生で歯科衛生士に憧れ、20歳で夢を叶える。趣味のスキューバダイビングにも熱中した。10年一区切りとサイパンへ飛び、ライセンスを生かしてダイビングの仕事を得た。さらに飲食店のアルバイトにも励み、人とのつながりと食の豊かさに楽しさを知り、縁あって飲食店のオーナーとなるなど7年過ごした。
帰国後、農水省による食糧自給率の向上に携わる求人広告に目がとまった。食の豊富なサイパンに対し、日本の食糧自給率の低さに驚き応募。事業を進める大手広告代理店のオフィスに通いながら、広告にまつわる業務や自給率向上の対策などを学ぶ。5年勤め上げて正社員となるチャンスを手にしかけた頃、父・力男さんが病に倒れ、看病するため退職。家業に入った。
専務となったが「手伝い程度」との姿勢で、食肉については全く知識がなく、それまで興味も持たなかった。そこへ兄・太郎さんから社長交代の話。時はコロナ禍で、異業種を経験し考え方が食肉業界寄りでないことから「新しい風を吹かす」と期待された。半年悩み決断した。
地域の消費者に向けて小売りをしている毎週土曜日の「リキの市」はいつも盛況になっている
農家を知るために
船出からいきなりの嵐だった。コロナ禍で学校給食や飲食店など、9・5割を占める納め先が止まってしまう。社員の解雇、余った食肉の廃棄は考えず、利益を生むことに知恵を絞った。まずはチラシを1万枚作成し近隣に配布。ほぼ仕入れ値で販売し、2週間で完売させた。「小売りは可能性がある」と確信し、これを機に工場直売会「リキの市」を立ち上げ。毎週土曜日の販売日には豚肉を中心に和牛、内臓肉などを手ごろな価格で販売し、大盛況となっている。
こうした取り組みは、肥育農家のためでもある。仕入れを急に止めれば、牛豚肉の価値は下がる。やがて農家は立ちゆかなくなり衰退が進む。「一番の目標は、生産者に利益を還元すること。そうでないと、日本は農家をやる人が少なくなり、食べるものがなくなってしまいます」とさくら子さん。
豚肉について1から学ぶため、多くの肥育農家を巡った。基礎知識もないため農家に呆れられることもあったが、知らないことを武器に教えを請い、わずかな期間で知識を深めた。生産者の思いを伝えたい。「豚肉の伝道師」として生産者のこだわりの豚肉の価値を消費者に伝えるため、自社ホームページで豚肉のセレクトショップ「MAISON SAKURACO」を通して紹介。商品群を並べるだけでなく生産者のホームページも記載し、消費者が生産者や飼育環境を肌で感じ、その上で美味しさを知ってもらうよう促している。
食育にも取り組む。夏休みには小学生の親子を招き、部位を確認しながらパーツ肉からひき肉にするまでの工程を学び、その肉でハンバーグを調理。子供食堂の活動にも関心が高く、養護施設で過ごした子の自立を援助するため、アルバイトの受け入れもしている。
豚の皮や毛を使ったバッグや靴のブランド立ち上げたい。全国の生産者に会いたい。やりたいことが次々と頭に浮かぶ。今目標としているのは、豚肉の脱骨を覚えること。
「もっと豚肉を知りたい。全然知らなかった世界が、どんどん面白くなってくる」
その前向きさで、構想が実現していきそうだ。ダイビングで浴びた南の島の太陽のように熱く、名前にある桜のように華やかに。
船出からいきなりの嵐だった。コロナ禍で学校給食や飲食店など、9・5割を占める納め先が止まってしまう。社員の解雇、余った食肉の廃棄は考えず、利益を生むことに知恵を絞った。まずはチラシを1万枚作成し近隣に配布。ほぼ仕入れ値で販売し、2週間で完売させた。「小売りは可能性がある」と確信し、これを機に工場直売会「リキの市」を立ち上げ。毎週土曜日の販売日には豚肉を中心に和牛、内臓肉などを手ごろな価格で販売し、大盛況となっている。
こうした取り組みは、肥育農家のためでもある。仕入れを急に止めれば、牛豚肉の価値は下がる。やがて農家は立ちゆかなくなり衰退が進む。「一番の目標は、生産者に利益を還元すること。そうでないと、日本は農家をやる人が少なくなり、食べるものがなくなってしまいます」とさくら子さん。
豚肉について1から学ぶため、多くの肥育農家を巡った。基礎知識もないため農家に呆れられることもあったが、知らないことを武器に教えを請い、わずかな期間で知識を深めた。生産者の思いを伝えたい。「豚肉の伝道師」として生産者のこだわりの豚肉の価値を消費者に伝えるため、自社ホームページで豚肉のセレクトショップ「MAISON SAKURACO」を通して紹介。商品群を並べるだけでなく生産者のホームページも記載し、消費者が生産者や飼育環境を肌で感じ、その上で美味しさを知ってもらうよう促している。
食育にも取り組む。夏休みには小学生の親子を招き、部位を確認しながらパーツ肉からひき肉にするまでの工程を学び、その肉でハンバーグを調理。子供食堂の活動にも関心が高く、養護施設で過ごした子の自立を援助するため、アルバイトの受け入れもしている。
豚の皮や毛を使ったバッグや靴のブランド立ち上げたい。全国の生産者に会いたい。やりたいことが次々と頭に浮かぶ。今目標としているのは、豚肉の脱骨を覚えること。
「もっと豚肉を知りたい。全然知らなかった世界が、どんどん面白くなってくる」
その前向きさで、構想が実現していきそうだ。ダイビングで浴びた南の島の太陽のように熱く、名前にある桜のように華やかに。
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ