(株)内野商店
内野誠一社長(左端)と従業員の皆さん。ショーケースには近江牛やTOKYO Xなど魅力的な精肉が並ぶ
昼前のゆったり感からは一変し、お昼の0時になると㈱内野商店(内野誠一社長、千代田区九段南)の店舗前にはお弁当を買い求めるサラリーマンでいっぱいになる。お肉屋さんのお弁当だからと、味も手ごろな価格も好評だ。お弁当には上質なお肉で作られた料理だけでなく、難局を乗り越えた歴史や、内野さんの努力と信念も詰まっている。
昼前のゆったり感からは一変し、お昼の0時になると㈱内野商店(内野誠一社長、千代田区九段南)の店舗前にはお弁当を買い求めるサラリーマンでいっぱいになる。お肉屋さんのお弁当だからと、味も手ごろな価格も好評だ。お弁当には上質なお肉で作られた料理だけでなく、難局を乗り越えた歴史や、内野さんの努力と信念も詰まっている。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3261-2918 FAX:03-3261-2914 |
---|---|
住所 | 〒102-0074 千代田区九段南4-2-5 |
URL | uchino-shouten.com |
店舗PR、お知らせなど

店頭には近江牛や黒毛和牛、豚肉のTOKYO Xなど、上質さと味の良さで知られる精肉が並ぶ
大学を卒業した内野さんは昭和51年、大阪の精肉店に修行へ。それまで手伝っていた家業のお店を離れ、自らを鍛えるため荒海へ飛び込んだ。大阪での仕事は、当時の時代の先を行っていた。部門ごとに担当者を置いて運営し、月に一度のミーティングで目標と実績を確認、高級スーパーからは常に新しい情報が入ってくる。戸惑いながらも、原価計算やセールの記録、勤務中の従業員の仕事への姿勢など、後に社長として視野を広げるために必要な多くのことを学び、その原点は大きな財産となった。
2年間の修業を終えて家業に戻ると、早々に試練が。近隣の市ヶ谷駅前にスーパーがオープン。早速、身に付けた知識や経験を生かす時と、店舗を改装し売り上げを上昇させた。さらなる発展に向けてお弁当の販売など積極的に手を打ち続けたが、バブル崩壊の影響で低迷を強いられる。
資金繰りに神経を擦り減らす中で、当組合の企画による経営コンサルタントの横山紘さんとの出会いが光明となった。まずは、お弁当を店頭の目立つ位置で販売。これがヒットし予想以上の利益に。また、曜日ごとのセールに加え、DMセールでは特に黒毛和牛と近江牛の切り落としが人気に。DMで2度来店したお客には、DM割引対象外の商品を割り引きで販売した。反響は大きく、安定的な売り上げを維持できた。
また、近隣の上智大学のクラブと契約し、ローテーションを組んで人員を確保。学生が売り場に立つ間に社員が肉のカットや補給に集中できるので、効率的な運営が可能に。新しい機種のレジの扱いも学生たちは呑み込みが早く、人材の面でも恵まれた。
2年間の修業を終えて家業に戻ると、早々に試練が。近隣の市ヶ谷駅前にスーパーがオープン。早速、身に付けた知識や経験を生かす時と、店舗を改装し売り上げを上昇させた。さらなる発展に向けてお弁当の販売など積極的に手を打ち続けたが、バブル崩壊の影響で低迷を強いられる。
資金繰りに神経を擦り減らす中で、当組合の企画による経営コンサルタントの横山紘さんとの出会いが光明となった。まずは、お弁当を店頭の目立つ位置で販売。これがヒットし予想以上の利益に。また、曜日ごとのセールに加え、DMセールでは特に黒毛和牛と近江牛の切り落としが人気に。DMで2度来店したお客には、DM割引対象外の商品を割り引きで販売した。反響は大きく、安定的な売り上げを維持できた。
また、近隣の上智大学のクラブと契約し、ローテーションを組んで人員を確保。学生が売り場に立つ間に社員が肉のカットや補給に集中できるので、効率的な運営が可能に。新しい機種のレジの扱いも学生たちは呑み込みが早く、人材の面でも恵まれた。

枝肉一頭での仕入れで味の安定性を保ち利益も確保
「風味と味が違う」
精肉の売り上げを支えたのは、味の評判が高い肉の数々だ。牛肉は「小売店が勝負するべき一番の商品」と位置づけ、内野さん自ら食肉市場で吟味する。黒毛和牛は東北を中心に、安定的な品質の生産者のものを仕入れ。加えて、一番の押しは近江牛だ。「牛肉は産地によって、風味と味が違う」と、手にしたものは全て長年にわたり鍛えた自らの舌で美味しさを確かめたものなので、自信を持って店頭に並べる。
豚肉は、ブランド豚3種が。宮城県牡鹿町で育てられた奄美大島在来原種豚で400頭という希少な「幻の島豚」。宮城県を代表する宮城野豚に宮城県色麻町産荏胡麻を配合した餌を与えた「荏胡麻豚」。今や東京産のブランド豚として広く知られる霜降りの豚「TOKYO X」。これらを薄切りや挽肉、切り落としなど、様々に展開する。「デパートでも、これほどの種類を出していることは少ない」と、自慢の品ぞろえだ。
枝肉一頭で仕入れれば味のブレを防ぎ、仕入れ価格を抑え、利益も確保できる。一般よりやや高価な精肉でありながら良心的な店頭価格は、こうした工夫と努力からのものだ。
精肉の売り上げを支えたのは、味の評判が高い肉の数々だ。牛肉は「小売店が勝負するべき一番の商品」と位置づけ、内野さん自ら食肉市場で吟味する。黒毛和牛は東北を中心に、安定的な品質の生産者のものを仕入れ。加えて、一番の押しは近江牛だ。「牛肉は産地によって、風味と味が違う」と、手にしたものは全て長年にわたり鍛えた自らの舌で美味しさを確かめたものなので、自信を持って店頭に並べる。
豚肉は、ブランド豚3種が。宮城県牡鹿町で育てられた奄美大島在来原種豚で400頭という希少な「幻の島豚」。宮城県を代表する宮城野豚に宮城県色麻町産荏胡麻を配合した餌を与えた「荏胡麻豚」。今や東京産のブランド豚として広く知られる霜降りの豚「TOKYO X」。これらを薄切りや挽肉、切り落としなど、様々に展開する。「デパートでも、これほどの種類を出していることは少ない」と、自慢の品ぞろえだ。
枝肉一頭で仕入れれば味のブレを防ぎ、仕入れ価格を抑え、利益も確保できる。一般よりやや高価な精肉でありながら良心的な店頭価格は、こうした工夫と努力からのものだ。

お弁当の味はもちろん味噌汁付きで近隣のサラリーマンには好評
活路開いたお弁当
「良いお肉を使っているから競争力がある」お弁当は、今や売り上げの柱の一つだ。以前の内野さんは「肉屋でお弁当はカッコ悪い」と消極的だったが、昭和61年にお弁当チェーン店が目の前に出店するとの情報に奮起。お弁当箱の調達から始まり、揚げ物、生姜焼き、焼肉とメニューも決定し、わずか1週間の準備だけで販売を開始した。
さらに平成23年には近隣にスーパーが5~6軒も点在している中で、得意先3軒が一度に廃業。この減収分を計算したところ、お弁当を一定数売ればカバーできることが分かり、販売にさらなる注力をしてピンチを乗り切った。
厳しい環境で育ったお弁当だけに、内容も充実している。牛丼、焼肉弁当、牛肉弁当は、黒毛和牛を使用。中でも内野さんのお勧めはロールステーキ弁当で、和牛の薄切りを並べて巻いていき、輪切りにしたステーキが鎮座する。他にも、ロースかつやヒレカツなど、同店の高品質な精肉を使ったお弁当が690円という手ごろな価格を上限に、種類豊富にそろう。
「良いものを置いていれば、お客さんは付いてくる」
その自信は平成24年に店舗隣にミニスーパーの開業というピンチでも証明された。スーパーとは違い、肉はもちろん新鮮野菜や牛肉を使った惣菜類、揚げ物など、高品質に徹して差別化を図ったところ、それを機に業績は毎年上昇。売上の85%が精肉小売とお弁当、惣菜類ということも、それを裏付けている。
◇
大正5年(1916年)に祖父が開業し近隣に基盤を築き、2代目の父が市ヶ谷駅前の「とんかつ うちの」を始め、3年ごとに大きな事業を展開した。内野さんはさらに、自社ビル賃貸で不動産の力を活用しながら本業の安定を模索する。
「地域に必要とされる店として、ずっと続けてもらいたい」
100年以上の歴史を持つお店の未来の姿を、2年後には後継の道を歩む予定の長男へ思いを馳せながら展望している。
【「東京食肉新報」2020年(令和2年)3月号掲載】
「良いお肉を使っているから競争力がある」お弁当は、今や売り上げの柱の一つだ。以前の内野さんは「肉屋でお弁当はカッコ悪い」と消極的だったが、昭和61年にお弁当チェーン店が目の前に出店するとの情報に奮起。お弁当箱の調達から始まり、揚げ物、生姜焼き、焼肉とメニューも決定し、わずか1週間の準備だけで販売を開始した。
さらに平成23年には近隣にスーパーが5~6軒も点在している中で、得意先3軒が一度に廃業。この減収分を計算したところ、お弁当を一定数売ればカバーできることが分かり、販売にさらなる注力をしてピンチを乗り切った。
厳しい環境で育ったお弁当だけに、内容も充実している。牛丼、焼肉弁当、牛肉弁当は、黒毛和牛を使用。中でも内野さんのお勧めはロールステーキ弁当で、和牛の薄切りを並べて巻いていき、輪切りにしたステーキが鎮座する。他にも、ロースかつやヒレカツなど、同店の高品質な精肉を使ったお弁当が690円という手ごろな価格を上限に、種類豊富にそろう。
「良いものを置いていれば、お客さんは付いてくる」
その自信は平成24年に店舗隣にミニスーパーの開業というピンチでも証明された。スーパーとは違い、肉はもちろん新鮮野菜や牛肉を使った惣菜類、揚げ物など、高品質に徹して差別化を図ったところ、それを機に業績は毎年上昇。売上の85%が精肉小売とお弁当、惣菜類ということも、それを裏付けている。
◇
大正5年(1916年)に祖父が開業し近隣に基盤を築き、2代目の父が市ヶ谷駅前の「とんかつ うちの」を始め、3年ごとに大きな事業を展開した。内野さんはさらに、自社ビル賃貸で不動産の力を活用しながら本業の安定を模索する。
「地域に必要とされる店として、ずっと続けてもらいたい」
100年以上の歴史を持つお店の未来の姿を、2年後には後継の道を歩む予定の長男へ思いを馳せながら展望している。
【「東京食肉新報」2020年(令和2年)3月号掲載】


素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ