(株)若松屋商店
功子さん(中央)は経理も担当し、正浩さん(左)は事務室と作業場を往復しながら奮闘する
信頼の源は屈託のなさ
オフィスや飲食店が並ぶ神田界隈の一角に、白いタイル張りのおしゃれな外観のビル。
1階のドアを開けると、若松屋商店の作業場が広がる。杉崎武彦社長を先頭に、妻・功子(かつこ)さんと長男・正浩さんが事務室で、スタッフ5人が作業台でテキパキと作業を進めていた。長年築き上げた信頼と肉の品質を守るために、心地よい緊張感を帯びながらも笑顔を忘れない。
親しみをもってさまざまな人たちと交わる杉崎社長の思いが、社内の隅々に行き渡っているようだ。
信頼の源は屈託のなさ
オフィスや飲食店が並ぶ神田界隈の一角に、白いタイル張りのおしゃれな外観のビル。
1階のドアを開けると、若松屋商店の作業場が広がる。杉崎武彦社長を先頭に、妻・功子(かつこ)さんと長男・正浩さんが事務室で、スタッフ5人が作業台でテキパキと作業を進めていた。長年築き上げた信頼と肉の品質を守るために、心地よい緊張感を帯びながらも笑顔を忘れない。
親しみをもってさまざまな人たちと交わる杉崎社長の思いが、社内の隅々に行き渡っているようだ。
店主より一言
店舗情報
連絡先 |
TEL:03-3251-2620 FAX:03-3251-2608 |
---|---|
住所 | 〒101-0047 千代田区内神田2-6-11 若松ビル1F |
店舗PR、お知らせなど
ビルの1階は作業場となっており、スライサーや冷蔵庫などの設備も充実
仕事への下地になった大学時代
父・静一さんが同地で昭和9年に食肉卸として創業。「若松屋」は伊豆・河津にある実家が営む林業の屋号から取った。店は順調に成長していたが胃がんを患い、昭和24年に46歳で亡くなると、母・優(まさる)さんが細腕で従業員を抱えながら事業を展開することになる。4歳の時に亡くした父の記憶はないものの、店の仕事を見て育ったため、杉崎社長は「いずれは後を継ぐものだ」との意識とともに青春を謳歌していた。
「勉強嫌いだった」ので、高校卒業後は大阪の精肉店へ修業に出ることを決めていた。旅立ちの日が近づくころ、気が進まないながらも姉から勧められた大学受験をしたら、明治大学農学部に合格。入学後は学業よりも、スポーツに夢中になる。中学3年から始めたゴルフは、週末の肉の配達の合間に練習。ベストスコアは73を出すほどに。当時流行していたボーリング部に入部しては、青山のボーリング場で仲間と過ごす時間が最高の楽しみだった。
大学のダンスパーティーでは功子さんと知り合い、同じ神田に住んでいたことから意気投合。実家も商売をしていたので「サラリーマンに嫁いで専業主婦が憧れ」だった功子さんだが、学生時代から7年の交際を経て杉崎社長が25歳の時に結婚する。
本格的に家業の肉の仕事を始めたのは21歳の時。ベテランの職人からは「包丁なんか持たなくていい」と、骨掃除から始まった。これをこなすことで骨の形や動きなどを覚え、見よう見まねで包丁さばきを訓練。時にはお得意さんへ納入した肉を使って練習させてもらったり、職人が集まる会で教わるなど、面倒見の良い人たちに囲まれながら腕を磨いていく。
自分の名前の銀行印で会社の業務をしたことで、「仕事に重みが出た」と社長になった喜びと実感をかみしめたのは35歳の時だった。
杉崎社長は大学の先輩や町の人、肉の配達先の職人など、さまざまな人たちから「かわいがられた」。仕事を始めてから今でも、それは変わらない。
「遊んでばかりの学生でした。遊ぶ金がなくなったから授業に出ると、先生から寝ててもいいからイビキはかくななんて言われて」
そうした大学時代に仲間と過ごしながら経験した交流や遊びで身についたことは、「社会人としての要領」として仕事で生きることに。そこから出る屈託のなさは、お得意さんから「何でも気軽に相談に乗ってくれる」と厚い信頼を得ることにつながった。
父・静一さんが同地で昭和9年に食肉卸として創業。「若松屋」は伊豆・河津にある実家が営む林業の屋号から取った。店は順調に成長していたが胃がんを患い、昭和24年に46歳で亡くなると、母・優(まさる)さんが細腕で従業員を抱えながら事業を展開することになる。4歳の時に亡くした父の記憶はないものの、店の仕事を見て育ったため、杉崎社長は「いずれは後を継ぐものだ」との意識とともに青春を謳歌していた。
「勉強嫌いだった」ので、高校卒業後は大阪の精肉店へ修業に出ることを決めていた。旅立ちの日が近づくころ、気が進まないながらも姉から勧められた大学受験をしたら、明治大学農学部に合格。入学後は学業よりも、スポーツに夢中になる。中学3年から始めたゴルフは、週末の肉の配達の合間に練習。ベストスコアは73を出すほどに。当時流行していたボーリング部に入部しては、青山のボーリング場で仲間と過ごす時間が最高の楽しみだった。
大学のダンスパーティーでは功子さんと知り合い、同じ神田に住んでいたことから意気投合。実家も商売をしていたので「サラリーマンに嫁いで専業主婦が憧れ」だった功子さんだが、学生時代から7年の交際を経て杉崎社長が25歳の時に結婚する。
本格的に家業の肉の仕事を始めたのは21歳の時。ベテランの職人からは「包丁なんか持たなくていい」と、骨掃除から始まった。これをこなすことで骨の形や動きなどを覚え、見よう見まねで包丁さばきを訓練。時にはお得意さんへ納入した肉を使って練習させてもらったり、職人が集まる会で教わるなど、面倒見の良い人たちに囲まれながら腕を磨いていく。
自分の名前の銀行印で会社の業務をしたことで、「仕事に重みが出た」と社長になった喜びと実感をかみしめたのは35歳の時だった。
杉崎社長は大学の先輩や町の人、肉の配達先の職人など、さまざまな人たちから「かわいがられた」。仕事を始めてから今でも、それは変わらない。
「遊んでばかりの学生でした。遊ぶ金がなくなったから授業に出ると、先生から寝ててもいいからイビキはかくななんて言われて」
そうした大学時代に仲間と過ごしながら経験した交流や遊びで身についたことは、「社会人としての要領」として仕事で生きることに。そこから出る屈託のなさは、お得意さんから「何でも気軽に相談に乗ってくれる」と厚い信頼を得ることにつながった。
小売りの品ぞろえも豊富で、近隣の飲食店や一般客からも評判が高い
お得意さんや注文は多彩に
「山手線内の範囲」という納入先は、レストランはもちろん、中華料理店、日本料理店、居酒屋、喫茶店などさまざま。上等のブランド牛からランチ用のハンバークや生姜焼き用の肉など、品質や種類、産地の守備範囲は広い。牛肉の出荷は全体の約6割で、最近は輸入牛が多くなった。特にオーストラリアのヒレのニーズが高いという。
多彩なニーズが出るため、「若松屋に頼めば何でもそろう」という信頼が得られるだけの体制を問屋や商社に備えている。何かをメーンで売ろうというものでなく、顧客のニーズをとらえて納めるという姿勢が長年培った信頼につながっているようだ。
同社周辺にも飲食店は多く、納入先もある。しかし、飲食業界は出入りが激しい。同じ貸店舗に短期間で何回も店が変わることも。神田周辺は事業所が多い反面、土日祝日はサラリーマンがいなくなってしまうため、月に20日程度の営業では採算が合わないという事情がある。
また、ブランド牛が流行る前のこと。ステーキハウスからの営業で山形牛の扱いを依頼された。入荷が困難な時の対処、ランクの維持などの課題があるうえに、個体識別番号の制度がない時代だったため、流行より品質の確保を優先した。そのため、納入先は昔からの顧客がほとんどで、堅実な事業展開を進めている。
〔2014年(平成26年)1月15日号 「東京食肉新報」掲載〕
「山手線内の範囲」という納入先は、レストランはもちろん、中華料理店、日本料理店、居酒屋、喫茶店などさまざま。上等のブランド牛からランチ用のハンバークや生姜焼き用の肉など、品質や種類、産地の守備範囲は広い。牛肉の出荷は全体の約6割で、最近は輸入牛が多くなった。特にオーストラリアのヒレのニーズが高いという。
多彩なニーズが出るため、「若松屋に頼めば何でもそろう」という信頼が得られるだけの体制を問屋や商社に備えている。何かをメーンで売ろうというものでなく、顧客のニーズをとらえて納めるという姿勢が長年培った信頼につながっているようだ。
同社周辺にも飲食店は多く、納入先もある。しかし、飲食業界は出入りが激しい。同じ貸店舗に短期間で何回も店が変わることも。神田周辺は事業所が多い反面、土日祝日はサラリーマンがいなくなってしまうため、月に20日程度の営業では採算が合わないという事情がある。
また、ブランド牛が流行る前のこと。ステーキハウスからの営業で山形牛の扱いを依頼された。入荷が困難な時の対処、ランクの維持などの課題があるうえに、個体識別番号の制度がない時代だったため、流行より品質の確保を優先した。そのため、納入先は昔からの顧客がほとんどで、堅実な事業展開を進めている。
〔2014年(平成26年)1月15日号 「東京食肉新報」掲載〕
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ