2020/11/15
牧場から精肉店まで「常陸牛」を一手に
墨田支部 藤井商店
工場と一体の店舗にはお客が車で乗り付けて買いに来る
周辺は商店や買い物ができる施設などはない、茨城県守谷市の畑が広がる地域。小高い丘の緩い坂道を上ると、路肩にある「藤井商店」の看板に車が次々と吸い込まれていく。その奥には「肉」の文字が大きく書かれた垂れ幕を掲げた、店舗を備えた工場が。お目当ては、ここで販売している「常陸牛」をはじめとした上質でお手頃価格の精肉だ。コロナ禍にあっても、1日300人もの買い物客が乗り付けてくる。
「初めは本当にお肉を売っているのかと思われていましたが、今では口コミで広く知られるようになりました」と、藤井勲社長。
墨田区東向島の本店を営業しながら、縁あって父が当地の養豚場を引き継ぎ、1970年に牛の肥育牧場を開始。1990年には食肉加工も手掛けた。第一工場と販売部を開設した2009年、生産から販売まで一貫した現在の体制が確立された。肥育農家の生産した牛肉を正当な評価と価格で販売できる形が必要と、若き日に食肉卸問屋で勤務していた藤井さんが思い描いた理想を実現した場でもある。
周辺は商店や買い物ができる施設などはない、茨城県守谷市の畑が広がる地域。小高い丘の緩い坂道を上ると、路肩にある「藤井商店」の看板に車が次々と吸い込まれていく。その奥には「肉」の文字が大きく書かれた垂れ幕を掲げた、店舗を備えた工場が。お目当ては、ここで販売している「常陸牛」をはじめとした上質でお手頃価格の精肉だ。コロナ禍にあっても、1日300人もの買い物客が乗り付けてくる。
「初めは本当にお肉を売っているのかと思われていましたが、今では口コミで広く知られるようになりました」と、藤井勲社長。
墨田区東向島の本店を営業しながら、縁あって父が当地の養豚場を引き継ぎ、1970年に牛の肥育牧場を開始。1990年には食肉加工も手掛けた。第一工場と販売部を開設した2009年、生産から販売まで一貫した現在の体制が確立された。肥育農家の生産した牛肉を正当な評価と価格で販売できる形が必要と、若き日に食肉卸問屋で勤務していた藤井さんが思い描いた理想を実現した場でもある。
精肉を販売している店舗ではガラス越しに作業場も見学が可能で食育にも一役買っている
コロナ対策として、店頭に消毒液を備えて入店は6人まで。店舗に入ると、注文用の伝票が用意され、「常陸牛切り落とし」「牛すきしゃぶ」「豚ロース」などの項目に希望するグラム数を書き込んで注文する。受け付けたら裏の作業場と連携し、注文の量をその場でパックに詰めて提供。
もともとこうした販売方法だったが、最低限の接触で対応ができ、お客も名前が呼ばれるまで店内外で待機するので、3密が避けられる状態になっている。緊急事態宣言の最中は、電話のみの受付で対応。決まった時間にお客がお店に取りに行くことで、感染リスクに備えた。
コロナ対策として、店頭に消毒液を備えて入店は6人まで。店舗に入ると、注文用の伝票が用意され、「常陸牛切り落とし」「牛すきしゃぶ」「豚ロース」などの項目に希望するグラム数を書き込んで注文する。受け付けたら裏の作業場と連携し、注文の量をその場でパックに詰めて提供。
もともとこうした販売方法だったが、最低限の接触で対応ができ、お客も名前が呼ばれるまで店内外で待機するので、3密が避けられる状態になっている。緊急事態宣言の最中は、電話のみの受付で対応。決まった時間にお客がお店に取りに行くことで、感染リスクに備えた。
枝肉からカットしたものをすぐに売り場へ提供できる
店舗内は精肉のショーケースがあるだけでなく、ガラス張りになった加工場が見学できる。枝肉がぶら下がり、ブロック肉をカットしていく姿が目の前で展開されていく。「お店に何か面白いことがないと」と、藤井さんは食育にもつながることを意識した。
図らずもコロナ禍により、地域への食育の機会が。茨城県では畜産農家の支援策として、小中学校の給食の食材に県内産の牛肉を使用した。守谷市でも13校6000人分、438㌕の牛肉を牛丼にして提供され、この事業に藤井さんも協力。食育だけでなく、地域の畜産農家の消費低迷への不安を和らげる機会も得られた。 「地域のものを知ることが大事。守谷に住んでいて、常陸牛を食べたことがない子どもがいるとしたら、口にするきっかけを作っていきたい」
今回の給食に限らず、地域の人たちが身近に常陸牛を知る取り組みが必要と藤井さんは強調する。地域を知り、肥育農家や牛肉を知ることで、常陸牛を地域の誇りの一つと思ってくれれば、やがて地域の肥育農家と食肉業界も守られると展望する。
店舗内は精肉のショーケースがあるだけでなく、ガラス張りになった加工場が見学できる。枝肉がぶら下がり、ブロック肉をカットしていく姿が目の前で展開されていく。「お店に何か面白いことがないと」と、藤井さんは食育にもつながることを意識した。
図らずもコロナ禍により、地域への食育の機会が。茨城県では畜産農家の支援策として、小中学校の給食の食材に県内産の牛肉を使用した。守谷市でも13校6000人分、438㌕の牛肉を牛丼にして提供され、この事業に藤井さんも協力。食育だけでなく、地域の畜産農家の消費低迷への不安を和らげる機会も得られた。 「地域のものを知ることが大事。守谷に住んでいて、常陸牛を食べたことがない子どもがいるとしたら、口にするきっかけを作っていきたい」
今回の給食に限らず、地域の人たちが身近に常陸牛を知る取り組みが必要と藤井さんは強調する。地域を知り、肥育農家や牛肉を知ることで、常陸牛を地域の誇りの一つと思ってくれれば、やがて地域の肥育農家と食肉業界も守られると展望する。
黒の化粧箱に詰めたギフトセットを扱う第2工場。守谷市のふるさと納税の返礼品でもある
地域への浸透は、着実に進んでいる。守谷市とその隣の常総市は、同店の常陸牛をふるさと納税の返礼品として取り扱う。市内の特産品を集めた守谷駅内のアンテナショップには、同店の精肉や加工肉も販売。地域の逸品として広く発信されている。
市内で営まれている小規模の肥育農家は数多い。しかし、優れた牛・豚を育てても、販売ルートが不安定であったり、販路拡大の方法を知らなかったりするため、継続が難しくなった農家は廃業するなど先細り傾向だ。同店では業界の維持と発展のために、周辺の優秀な農家とタイアップして牛肉を販売している。
東京の本店では、「産地直送」をキャッチフレーズに常陸牛を前面に出して販売。さらに、都内の飲食店やホテルだけでなく、米国を中心に海外にも卸し、販路拡大へ模索を続ける。そのなかで、常陸牛の良さを顧客に認めてもらいながら付加価値を付けて販売していくことで、農家への利益を確保して業界を守れるような仕組み作りを藤井さんは目指している。そのためには「産地に来て、実際に牛や作業場、売り場の商品を見て、価値を理解してほしい」と訴える。
地域への浸透は、着実に進んでいる。守谷市とその隣の常総市は、同店の常陸牛をふるさと納税の返礼品として取り扱う。市内の特産品を集めた守谷駅内のアンテナショップには、同店の精肉や加工肉も販売。地域の逸品として広く発信されている。
市内で営まれている小規模の肥育農家は数多い。しかし、優れた牛・豚を育てても、販売ルートが不安定であったり、販路拡大の方法を知らなかったりするため、継続が難しくなった農家は廃業するなど先細り傾向だ。同店では業界の維持と発展のために、周辺の優秀な農家とタイアップして牛肉を販売している。
東京の本店では、「産地直送」をキャッチフレーズに常陸牛を前面に出して販売。さらに、都内の飲食店やホテルだけでなく、米国を中心に海外にも卸し、販路拡大へ模索を続ける。そのなかで、常陸牛の良さを顧客に認めてもらいながら付加価値を付けて販売していくことで、農家への利益を確保して業界を守れるような仕組み作りを藤井さんは目指している。そのためには「産地に来て、実際に牛や作業場、売り場の商品を見て、価値を理解してほしい」と訴える。
牛舎の牛の様子を見る藤井勲社長。牧場では約130頭の牛を肥育している
臭いがほとんどない清潔な牛舎では、牛がのんびりとエサを食む。ここで育てているのは「常陸牛」というだけでなく、畜産業界、食肉業界の理想の姿であるのかもしれない。
臭いがほとんどない清潔な牛舎では、牛がのんびりとエサを食む。ここで育てているのは「常陸牛」というだけでなく、畜産業界、食肉業界の理想の姿であるのかもしれない。
素材の味が生きた塩・豚肉じゃが
シンプルな塩の味付けで素材の味を楽しめる肉じゃが
牛肉たっぷり「ハッシュドビーフ」
簡単なのに、牛肉もご馳走感もたっぷり
ローストビーフ・サラダ
見た目が華やかでヘルシー感もあるのにご飯にも合うローストビーフ
骨付き豚バラのキムチ鍋
豚肉の骨から出汁が出てコクと旨味がじゃがいもに染み込むキムチ風の肉じゃが
野菜たっぷりのハンバーグシチュー
ハンバーグだけでなく、たっぷりな野菜も楽しめる煮込みシチュー
ローストチキン
クリスマスの定番。ひと手間かけて丸鶏を美味しく
ビーフかつめし
ビーフの薫り高いカツにデミグラスソースが決め手
チーズ入り鶏むね肉唐揚げ
むね肉にチーズを加えて旨味を追加したから揚げ