おいしくお肉を食べようよ！マイスター紹介『（株）ヤザワ』

（株）ヤザワ

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　お肉屋さんでは、スーパーなどでは手に入らない良質なお肉が買えます。専門店だからこそ、ひと味もふた味も違うお肉がそろっており、中にはお店自慢のお肉があるのです。大田区の㈱ヤザワには、初代の矢澤豊栄さんが何十年と仕入れているお気に入りの豚肉があるそうです。

　当時、営業マンが持ち込んだサンプルを口にし、「これは良い豚だと、一発で気に入った」と語る肉は、神奈川県産のブランド豚。きめ細かく柔らかな肉質に、脂肪の甘味があり、風味がある。調理をしても灰汁が出にくい。あまりに気に入った豊栄さんは、近隣のお店にも勧めたそうです。

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　その豚肉がこちら。「枝肉」と言いまして、豚を解体して背骨に沿って半分に切った状態になっています。肋骨がはがされており、右端にたっぷりと脂肪が備わっているのがわかるでしょうか。これをパーツごとに切り分けていくのです。

　パーツに分けられた真空パックの肉を仕入れる精肉店も多いです。対して、ここでは肉質、脂の質を良く見極め、最適な状態で提供するために、枝肉で仕入れています。お客さんから見れば、良質な豚肉の全ての部位が手に入るということ。ロースやヒレなど、よく見かけるものだけでなく、ちょっと凝った部位もお願いできますね。

　では、牛肉は？　豊栄さんは売れ行きが良かったので豚肉をメインとし、牛肉はすき焼きやしゃぶしゃぶなど、鍋物が多くなる冬の時期を中心にそろえていたそうです。しかし、３代目の寿美男さんは牛肉に力を入れ、群馬県産の黒毛和牛Ａ５を中心に仕入れ。脂の具合を見て、最高のものを注文しています。鶏肉も国内産の上質なものばかりです。

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　これらの精肉は販売用や卸用にカットされ、大きな作業台の上で次々とさばかれていきます。左端の寿美男さんは、豚の枝肉からカットした肋骨を取り除く作業を。その横では、パートさんや寿美男さんの姉チイ子さん（右端）が卸し先の注文に応じた大きさにカットしていきます。

　ただ淡々と切っていくのでなく、背脂を削ったり、赤身からスジを取り除いたりと、細かい作業も多いです。卸し先は病院や小学校、飲食店など、使うところによって肉の種類や大きさ、量などがまちまち。ニーズに応じた細かい注文があるので、大変な作業です。

　さて、売り場を見てみましょう。牛・豚・鶏とすべて国産の上質な精肉がそろっています。やはり豚肉が広いスペースを取っているようです。どれも調理したら美味しい料理になること間違いなさそう。

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　牛肉はすき焼き用が出ていました。ランプ肉はお尻の部分に当たる部位で、柔らかくてどんな料理にも対応できます。専門店でないと入手困難な部位ですね。

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　ここまで見て、お肉屋さんによくあるメニューがないことに気づきませんか。そうです。コロッケなどのお惣菜がないのです。「作るスペースがないから」と豊栄さんは言いますが、精肉の店頭販売と卸売だけで成り立つほどお客さんたちに信頼されているということです。調理関係の許可は取っているので、やろうと思えばできるのですが、飲食店が多い地域で助け合いながらここまで来たので、「もし売ったら、地域のお店に心配かける」と気遣いを。

　気遣いと言えば、この地域は少し入り組んだ街並みになっているので、通りすがりの人から道を聞かれることも多いとか。近くの病院への道を教えるために、用意した地図はボロボロに。中学校の体験学習も毎年受け入れており、鶏肉の皮むきやカットなどを教えています。

　一見して、普通の品ぞろえをしたお肉屋さんですが、そろっているものは高品質で味も上質なお肉ばかり。お肉への自信が表れたショーケースになっているのです。

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